あの頃とはちがう











大好きだった。


修ちゃんが好き、修ちゃんと一緒にキャッチボールするのが大好きだった。


一緒にキャッチボールして、修ちゃんが笑いかけてくれる。


そんな時間が大切で、大切で、本当に大好きだった。
















距離を感じた、それはきっとオレだけじゃない。

その距離を感じたのは、エースを…一番を貰ってすぐのこと。

いつものように練習後、二人での帰り道。

いつもの通学路、いつもの風景、いつもと同じように二人きり、何もかもがいつもと同じだった。




けれど、確かに感じる奇妙な違和感。




何かが違った。

『何か』それが何なのか、すぐには判らずに。でもずっと気付かずにいられるほどオレは鈍感でもなかった。

その奇妙な違和感の正体は修ちゃんとの間にあった。

昨日までとは違う、修ちゃんの纏う空気。




あぁ、そうか。




すんなりと理解できた。




この違和感、距離はきっともう、取り除けないのだと。










修ちゃんは優しい。

だからきっと、オレに直接言ったりしないのだろう。

修ちゃんは優しい。

だからコントロールしか取り得のないオレにも、そのコントロールは自分には真似出来ない。だから自信を持っていいのだと言ってくれた。

修ちゃんは優しい。

だからオレを認めないとは口にしないのだ。

だけど、それでも。


きっと、どうしても納得出来ない部分はある。


だって、誰が見ても修ちゃんの方がいいピッチャーなのだ。

エースに相応しいのは修ちゃんなのだ。






本当はオレだって、判ってる。

エースに相応しいのはオレじゃない、一番を背負うべきなのはオレじゃなくて修ちゃんなんだって。

判ってるんだ。


だけど、それでも。


譲れないんだ、マウンドを、エースを、一番を。

誰に罵られても、どんなに責められても、これだけはどうしても。

相手が修ちゃんでも。






譲れない。







違和感が、距離感が。


もう昔のままではいられないのだと。



単純に、投げることと修ちゃんが好きだと笑っていたあの頃とは違うと。


もう子供の頃のままじゃいられないのだ。

あの頃とは違うのだと。



教えてくれた。






もうこどものままじゃいられないんだ。


こどものままじゃいちゃいけないんだ。






違和感が、距離が。


それはオレがつくったもの。


もうあの頃とは違う。

あの頃のままじゃいられない。





お題配布元:水影楓花