好きと愛の境界線








好きって言葉と愛してるって言葉の違いは何だろう。





好きは、判る。





何が好き?

そう聞かれればオレは迷わずに野球と廉が好きって答えられる。



だけど。



誰を愛してる?




って聞かれたら、オレはきっと答えられない。




好きと愛って言葉の違い。

考えても、考えても判らなくてお母さんに聞いたら、吹き出して笑いながら。


「いっぱい、いっぱい大好きってことよ」


って言った。

じゃあお母さんは誰かのことを愛してるの?って聞いたら今度はとびきり優しく笑ってからお父さんとオレたち家族のこと皆を愛してるって言った。



『いっぱい、いっぱい大好きなことが愛』

それなら、やっぱり廉のことだってそう思ったけれど、オレにはやっぱり違いが判らなかった。

















中学に入学して叶は毎日浮かれ立っていた。それもそのはず、今までは長期休みのときにしか一緒にいられなかった大好きな廉とこれから三年間、毎日一緒にいられることなったからだ。

幸い家は近所だし、クラスも部活も一緒とこれからは今まで以上に一緒にいられるのだと思うと自然と顔が綻んで口の端が上がった。





とても幸せで毎日が楽しい、けれど時々ぎゅうっと心臓が締め付けられるような感覚に襲われることがある。

それは大抵廉と叶と他の誰かが一緒のとき。

叶は昔からガキ大将で、一番の友達は廉だけど他にもたくさんの友達がいた、三星学園にも小学校からの友達が多く進学していて、いつだって叶と一緒に行動をしている廉は自然と叶の友達と親しくなっていった。

廉と二人一緒でいるときに他の誰かに割り込まれるのが嫌だと感じて、廉が叶以外の誰かと楽しそうに話しているのを見ていると心臓をぎゅっと掴まれたように締め付けられたような痛みに襲われた。

子供じみた独占欲。

廉が、自分以外の誰かと話しているのを見るのが嫌だと。

廉が、自分以外の誰かに笑いかけているのを見るのが嫌だと。

強く、強く思った。

廉のことを考えると胸が軋んで痛み、けれどほっとする。姿が見えないと不安で不安で仕方ない。

自分ではない、他の誰かと一緒にいるのを見て不安で不安で仕方ない。

いつか廉は自分の側から離れていってしまうんじゃないか、いつか自分以上に大切な存在を見つけてしまうんじゃないか。




ひょっとしたらもう、廉は自分の庇護を必要とはしていないんじゃないかと。






考えれば考えるほどに不安は広がり、叶の心の中に波紋を落とし、拡げていく。

そんなことを考えてしまう自分が馬鹿みたいだと思わないでもないけれど、不安は打ち消そうとしても消えてくれない。

自分だけを見てほしい。

自分だけを頼って自分だけに笑いかけてほしい。

そして自分にだけ好きだと、そう言ってほしい。




そう思った。

友達に対して、こんな風に思ってしまうのは馬鹿げてる。絶対おかしい。

そう、頭では判っているのに。





廉が好きで、好きで、どうしようもなく好きで。









強い独占欲と、強い感情。

子供の頃とは明らかに違う、想い。

あぁそうかと。





唐突に理解した。




これが愛しているということ。