窓際、グラウンド、チャイム。









火曜日の二時間目と金曜日の4時間目。

叶は窓から校庭を眺める。

4月。新学年になり、叶と三橋は別々のクラスになった。

昨年度は二人は同じクラスで、叶は部活のときだけでなく教室でも三橋の世話を焼き、さり気なく三橋を責め立てる同級生たちから庇っていた。

誰かに頼まれたわけでなく、誰かに乞われたわけではなく、あくまでも自発的に。まるで、そうするのが当然だと言わんばかりに自然に。

三橋を庇って、守っていた。








昨年度までは。







クラスが別れ、三橋とは部活と登下校時にしか一緒にいられなくなった。

それでも叶は、窓際の席になったのをこれ幸いと三橋のクラスの時間割を三橋本人から聞き出して体育の授業で三橋のクラスがグラウンドを使用するために校庭に出てくるたびに授業そっちのけでグラウンドを眺めた。

だから気付いた。

三橋が、いつだってぽつんと孤立して寂しげにしていることに。

準備運動で二人一組にならないといけないときでさえ、三橋はいつもあぶれていて一人でいた。

どんなときも。

三橋は一人で、孤立していた。








誰一人、三橋に声を掛けようともせずに。仲間を入れようともせずに。

まさか、自分がいなくなっただけで。たったそれだけで、ここまで三橋が孤立してしまうだなんて思わなかった。

寂しげな三橋の後姿が、哀しそうな表情が痛々しくて、ズキリと胸が痛む。

同じクラスだったならば。

真っ先に三橋に声を掛けて、一緒にいてやれるのに。

あんなに哀しそうな顔をさせないのに。三橋が傷付かずにすむのに。


寂しげな、哀しげな三橋の様子はグラウンドから遠く離れた教室の窓からでもはっきりと判って、叶の心も痛む。


同じクラスだったら。

去年と同じように同じクラスだったら。





今すぐにでも三橋に駆け寄っていって、一人にはしないのに。





無力な自分が情けない。情けなくて腹が立つ。

三橋を守ってやれない自分に腹が立つ。

三橋ばかり傷付いて、そんな状況をどうにもしてやれない自分の無力さが腹が立って。それでも叶にはどうしようもなくて。

三橋を守りきることが出来ない。








結局三橋は、一人でのろのろと準備体操を終わらせてクラスの輪の片隅でその輪から一人外れていた。

授業の間中ずっと。

一人きりでぽつり。


俯いて、とても哀しそうな顔で。








叶に出来るのは、少しでも早く授業が終わるように願うだけ。

少しでも早く。

チャイムが鳴ったらすぐに三橋の傍に駆け寄って、何事もないように『廉』と笑って呼びかけて。






だから早く。

早く三橋の傍に行かせて。










夕日のバカヤロウの砂浜ダッシュさんへ。
中途半端で、ご、ゴメ…っ。