軋む胸、切ない背中。










きらきら きらきら。




手から零れ落ちたものは輝いていて、眩しかった。




きらきら きらきら。




とても綺麗に輝いていて、とても綺麗で眩しくて、遠かった。




とても綺麗で、眩しくて。




だから、伸ばしてはいけない手を伸ばして。零れ落ちるのを無理やりに押し留めた。












「じゃあ、叶くん。また、ね」



またね。

この言葉を聞くのは何度目だろう。

遠ざかる車の窓から覗く廉の後ろ姿を見詰めるのは何度目だろう。





頻繁に、とまではいかないけれど用事があるからと月に何度か群馬へと足を運ぶ母親に便乗しては三橋は叶を尋ねた。

そう長い時間を取れるわけではないけれどキャッチボールをしながら互いの近況を報告して、他愛もない昔話をして、そうして三橋は埼玉へと帰っていく。

去り際に、車が出発するギリギリまで三橋の傍から離れようとしない叶に先に別れの言葉を切り出して。

またね。

そう言って、埼玉へ帰っていく。

振り返ることもなく。

叶はそんな三橋の後姿をずっと見詰める。見えなくなるまでずっと。





一度も振り返られることのない背中にきりきりと胸が軋んで痛む。

三橋の背中を見送るたびに、三橋にとっての叶という存在がどんどん小さくなっていくようなそんな気がして。

それでも、会わずにいたら存在そのものが消されてしまう。そんな気がして。



軋む胸を押さえて。















今日もまた。


振り返ることのない背中を見詰める。


必死にあがく。


















きらきら きらきら。




手から零れ落ちたものは輝いていて、眩しかった。




きらきら きらきら。




とても綺麗に輝いていて、とても綺麗で眩しくて、遠かった。




とても綺麗で、眩しくて。




だから、伸ばしてはいけない手を伸ばして。零れ落ちるのを無理やりに押し留めた。







ちがう。




零れ落ちてしまいそうなのは自分。




それでも離れたくなくて必死にしがみついてる。





今もまた。