ごめんなさいと伝えることが出来たなら。



















きっとそれは酷く簡単で、そして単純なこと。




きっと。


オレが一言。




「好きだよ」




そう囁いて、抱きしめてやればそれだけで。

それだけで廉はきっと、安心するんだろう。今みたいに傷付いて涙を流すことも少なくなるんだろう。

判ってたのに。


そうしてやればいいだけなのに。オレにはそれが出来なかった。

嫉妬とか嫉みと言われるような汚い、醜い感情がオレの中でぐるぐると渦巻いていて。

オレはその簡単なことが出来なかった。




泣いている廉を見て、ズキリと胸が痛む。

それは事実。




けれど。




泣いている廉を見て、どこか小気味いいと思う。

それも事実。




廉が悪いわけじゃない、判ってる。

だけど。

行き場のないやり場のないどうしようもない思いをどこかにぶつけたくて。

もっと、もっと廉が傷付けばいいなんて思って。

だから。





廉がオレを頼ってくれば、それに応えるように守ってやるけれど。

オレからは絶対に。

絶対に助け舟を出さない。



なんて卑怯な、なんて姑息な。






それなのに廉は。

馬鹿みたいにまっすぐに、素直に。

オレのことを信じて、オレのことを頼って、オレを好きだと言う。オレを好きだと言って笑う。

オレみたいな裏のない、まっすぐな笑顔で。










オレはなんて汚い、なんてずるい人間なんだろう。





だから、だから。







廉はオレの隣から離れた。

廉は二度と戻らない。







全部、オレが悪い。

今更、今更後悔したって遅い。












ごめんなさい。

好きだ。




なんて、今更。

なんて都合のいいこと言えない。言えるわけがない。











なんて、卑怯でなんて姑息な。


そんなオレだから。


だから。







廉がオレの隣から離れたのはきっと天罰。

卑怯で、姑息なオレへの。





こんなことは今更。


だけど。














ごめんなさい。