いらいらする。


こんなのオレらしくない、オレじゃない。









1/3の純情な感情












あの日から三橋はオレを避けていた。

それはもう、面白いくらいにばればれな露骨な態度でオレを避け続けていた。

部活のときはオレのリード通りには投げるもののろくに口を聞かず、一定の距離以上は近づかない。

部活以外ではろくに近寄りもしない。そりゃ、クラスが違うからもともとよく一緒にいたってわけではないけれどそれでも、今までは昼休みはオレのクラスに来て一緒に食ってたのに、あれ以来一度も来ない。

どうやら、田島と泉と自分のクラスで食べているらしいけれど。

判ってる。

避けられている原因はオレにあるってことくらい。

オレが悪いってことくらい。

判ってるんだ。けれど。 どうしようもなくいらついている自分がいる。



オレの姿を見つけるなりびくついて慌てて逃げていく三橋が。


なにか言いたげなくせに結局は何も言いだせずにいる三橋が。

何よりも。

視線を反らして、決してオレと目を合わさずにいる三橋がたまらなくオレの感情を逆撫でにした。

オレが悪い、判っていても不満をうまく表面に出せずにいるほどオレは大人じゃなくて。

















「あっした!!」

結局三橋とは何も進展がないまま練習が終わった。小さく溜息を吐いて部室に向かおうとした瞬間、監督に呼び止められた。

何の用かと尋ねようとして、ピクリと体が強ばる。監督はオレだけではなく、三橋も呼んでいたらしい。やはり三橋は下を向いたままオレを見ようとはせず、オレは不自然にはならない程度に距離を置き、三橋の隣に立つ。

「二人とも呼ばれた理由、判ってるよね?」

にっこりと笑顔で言われてしまえば何も言い返すことが出来ずにいると、オレと三橋の頭をがしっと握られた。…冗談抜きで本気で痛い。横目で三橋を盗み見るとすでにうっすらと涙を浮かべている。

「チームの要のバッテリーがそんなんじゃ困るの!チーム全体の士気が下がって迷惑!さっさと話でも何でもして仲直り!判ったら返事!!」

監督のこの攻撃には二人でただ返事をするしかなくて、そのおかげというべきか久しぶりにゆっくりと三橋と話をする機会が与えられた。

三橋はやはり俯いたままで、視線を合わせない。

―――ぷつりと、何かが切れた音がした気がした。

下を向いたままの三橋の顎に手をかけて上を向かせてそのまま口付ける。

「あ…っべく…っ」

三橋が振りほどこうとばたばたと暴れるのを無理やり押さえつけ、角度を変えて何度も何度も。繰り返し、貪るように。

どれくらい時間が過ぎたのか判らない。

ただ、三橋の流した涙がオレの頬を伝ったときに。ようやく唇を解放した。

オレの唾液と三橋の唾液とがつやつやとして見えて、妙にいやらしいと感じてしまう。オレはもう、どこかおかしいのかもしれない。

「ど…、してっ」

涙を流しながら。

「そんなに、オレのこと…きらいっ?」

違う。そうじゃない。
そんなんじゃない。







涙を流す三橋の額に口付けて。

「オレ…お前が好きだ」














それは初めての感情。