寒いね。

ぽつりと言った。
二人きりの部屋に夜の帳がおりて、静かな部屋の中で聞こえるのは互いの鼓動と呼吸する音と微かな衣擦れの音だけ。

そっと触れた掌はじんわりと汗ばんでいて、それでも指先はとても冷たかった。
そのまま、ふわりと指先を包み込んで己の顔の前まで持ってくる。
ふぅと小さく息を吹きかけて、ちゅっと音を立てて軽く口付ける。
口付けた瞬間、びくりと躰を揺らしてその瞳に怯えが見えた。

その怯えはきっと、これから二人の身に起こる出来事への不安。

不安がないわけじゃない。
怖くないわけじゃない。

だけど、もっと強く強く、深く深く。

繋がり合いたいという想いはとめようがなくて。
そっと頬を撫でて、怯えさせないようにふんわりと微笑んだ。

怖いのは同じ。
けど、きっと二人なら。

きっと、へいき。



「すきだ」

「お、おれもす、きっ!」