「お前を愛しているよ」
泣きそうな笑顔で語られる愛の言葉。
彼がどうしてそんな顔をしているのかわからなくて。
けれど彼はその理由を決して口にしようとしない。
ただ、愛していると繰り返す。
まるでオルゴゥルのようだ、なんてぼんやりと思った。
僕も愛しているよ、大好きだと口にして。
泣きそうな彼をそっと抱き締めて、それからキスをした。
子供の頃とは違うキスを。
そっと瞼を伏せる彼の震えた睫毛は長くて、透けそうな肌に吸い込まれるようにして頬に手を添える。
大事な大事な宝物を包み込むように、そっと。
彼には笑っていてほしいのだ。
僕が大好きな笑顔で、綺麗なまま。
昔のままに、彼には笑っていてほしいのだ。
そのためなら、僕はどんなことだってする。
この手を汚すことなど厭わない。
彼のためならば。
汚れ仕事は全て僕が引き受けるから。
だから君はどうか昔のままでいて。
そう願っているのに。
なのにどうして。
どうして彼は。
はらりと涙が頬を伝う。
彼の横顔は儚くて、そして美しかった。
その横顔にドキリとした。
泣いてほしくない、笑っていてほしい、その笑顔は僕が守るのだと思っていたのに。
泣かないで、そう言って涙を舌先で拭って。
彼を抱き締める。
彼は此処にいる。
僕の腕の中にいる。
それなのに彼が遠いと感じてしまうのはどうしてだろう。
こんなに近くにいるのに、
君が遠い。
かれは
かれは
こわれたオルゴゥルのようにくりかえす
ただ
ただ
アイシテイルと
愛しているよ