私のクローンがこんなに可愛いはずがない
2011/07/23 Sat
m25
「オロチくんも反省したみたいだし、そろそろ帰ろうとは思ってるよ」
「今すぐ帰れ」
「偶の里帰りは女の特権なの」
「黙れ小娘が」
コロコロと笑う姿は幼い容姿とは裏腹に、さながら女帝のような傲慢さをチラつかせている。
その笑みは、実父たるイグニスよりも、教育係であったオリジナルゼロのものに近い。
確実にこの幼女がこんなにも性悪に育った主原因はヤツだろう。と、クローンゼロは眉間の皺を深くした。
よくもここまで嫌なところばかり似たものだ。しかも、ちゃっかりと使いこなしているから尚性質が悪い。
クローンゼロは臓腑の底から吐き出すような、これ見よがしな溜息をついて、片手を振った。
世間話程度ならばクローンゼロでなくても、それこそオリジナルゼロでもイグニスでもいいはずだ。
何が悲しくて磨耗している精神状態で小娘の相手などしなければいけないのか。
「私がいると髭にも良いことあると思うけど」
まるで猫の子を追い払うような手の動きに、イグのんはそれこそ猫のように大きな目を細め、含み笑う。
掛け値なしの美少女が浮かべる微笑は、世のロリコン共が見たらさぞ喧しいだろうと思える程度には絵になった。
けれど、それを素直に口にするクローンゼロでもなく、イグのんの発言を鼻で笑う。
散々に迷惑と被害を受けているクローンゼロにとってこの数日間良い事などあった例はない。
適当なことを言うにしても、もう少し頭を捻れ、と、クローンゼロが口を開いた瞬間。
「夜は一人で寝れてるでしょ?]
人類滅亡を謳う夫に寄り添う破滅の女神が、手にした鎌をこちらに向かって振り下ろした。
「―――――――――――」
迂闊にもバッサリと切り捨てられ、無様にも一切の動きを凍りつかせたクローンゼロへと微笑むと、綿のように軽い体は窓辺から離れ、扉へと向かっていく。
その背を呆然と眺めているクローンゼロの頬を、窓辺から流れてくる風が弄って室内を荒らしていく。
クローンゼロの視線を感じているだろうに、イグのんは振り返りもせず部屋を出て行った。
パタン、と静かに扉が閉まる音を耳が拾ったが、クローンゼロの動きは未だ凍りついたままだ。
全てが凍りついている状態で、うっかりと思い出したのはオリジナルゼロに犯され貫かれているときに訪れたイグのんの反応。
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