私のクローンがこんなに可愛いはずがない
2011/07/23 Sat
m25
侵入に気づかなかったのは迂闊というより他ないが、互いの実力さを鑑みれば致し方ないことだ。
けれど、一度侵入者がいると認識してしまえば、これ以上無様な姿を晒しているのも憚られた。
身体は悲鳴を上げて、今にでも寝台へ戻りたいと訴えるのを理性で捻じ伏せる。
無論、理性で捻じ伏せたとしても許容量が増える訳でもなく、クローンゼロは寝台の上で座位を保つのが精一杯で、それ以上の動きは出来そうもない。
ある程度の妥協は仕方ない。そもそも礼を欠いてまで侵入してきた小娘に対して持て成す義理もない。
そう結論付けたクローンゼロは、珍しくも寝台に座り込んだままの姿を他人に見せるという、今までの彼なら決して見せなかっただろう怠惰な一面を晒して見せた。
その姿にイグのん顔をまずは驚きが支配し、次いで、酷く愉快そうな笑みが頬へと刻まれるが、それをクローンゼロが見咎めることはなかった。
ドアから入ってきたという自己申告を裏切るように開け放たれた窓枠に腰掛ける幼女へ向かって、面倒臭そうな低音が紡がれる。
「―――あの男との馬鹿げた痴話喧嘩はどうした」
「うわ、珍しい。心配してくれてたの?」
「戯言を抜かすな。この場所を破壊されたくないだけだ」
もっと言えば、オリジナルゼロの度の越した八つ当たりをこれ以上受けたくなかったし、更に加えるなら今日のように淫行を他者に目撃されるかもしれないという嫌な綱渡りをしたくなかった。
万が一にも億が一にも誰の目にも晒す気はないが、オリジナルゼロとクローンゼロの淫行が誰かに目撃された場合、割を食うのは確実に我が身の方なのだ。
例え押し倒され、男根を咥え込まされ、どう見ても和姦ではない状況だとしても、オリジナルゼロの外面が完璧である限り、誘ったのはクローンゼロだろうと糾弾されるのは目に見えている。
鬱々と腹に溜まる苛立ちは、久方ぶりの陵辱で奪われた体力と気力に比例して加速していき、八つ当たりだと分かっていながら全ての元凶に怒りの矛先が向いてしまう。
それでも現状で野試合に発展した場合、絶望的なランクの差を我が身を持って思い知ることになるだけだと、なけなしの理性を掻き集めて眉間に深い皺を刻むだけで己を留めた。
そんなクローンゼロの不機嫌そうな顔が面白いのか、はたまた興味がないだけか、鈴のように耳に響く幼い声は風に乗って歌うように口を開いた。
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