私のクローンがこんなに可愛いはずがない
2011/07/23 Sat
m25
静かに繰り返す息すら殺しながら唇を噛んでいると、不意にオリジナルゼロの手が前へと下る。
クローンゼロは信じられないような思いで眼を見開いた。
その様子に気付いているだろうに、オリジナルゼロは淫液を零すクローンゼロの陰茎を太い指であやすように撫で摩る。
摩擦に対し正直に質量を増す自身にも呆れるが、こんな状況下ですら手を止めないオリジナルゼロこそ常軌を逸していると言わざるを得ない。
クローンゼロは解けそうになる唇に力を込めて、歯列を噛み締め全力で声を殺しにかかるが、オリジナルゼロはゆったりと項に歯を立て肌に痕を残していく。
そうしながらも、オリジナルゼロは扉の向こうのイグのんとの会話を続行させる。
「ただ、少しばかり手が離せないので、申し訳ありませんが私室のほうへお戻り頂けますか?」
「分かった。また呼んでね」
「承知いたしました」
正直、全てを捨てても良いから、今この場でこの男を殺したい。
とたとた、と、軽い足取りが去っていく音を拾いながら、クローンゼロの心中を占める感情はそれだった。
室内の状況に気付いた様子がなかったのがせめてもの救いだが、より悪いほうと比べてまだマシ程度の救いに用はない。
去り行くイグのんが一定の距離を離れたことを確認すると、クローンゼロは荒い呼気に怒声を混ぜた。
「こ、この―――ッ!!」
「余所見をしてすまないな」
「黙れ下種!!」
誰かそんなことを気に掛けろと言ったか。そもそも余所見も何も最初からクローンゼロなど眼中にないだろうに。精神を嬲るだけの意味しかない言葉が腹立たしかった。
刹那の間だけ浮かんだ、深読みの出来そうな思考がクローンゼロの中に残る前に、オリジナルゼロは眼下の巨躯を押さえつけて嫣然と微笑んだ。
「安心しろ、私は雑務でも手を抜いたことはないぞ」
喧しい、と、怒鳴る暇さえ与えられるはずもなく。
クローンゼロはオリジナルゼロの気が済むまで時間外勤務に付き合う羽目になったのだった。
クローンゼロは漸く辿り着いた私室の扉を荒く開けると、そのままコートも脱がずにベッドへと直行した。
昨夜までは優雅で穏やかな一人寝を満喫していた身体にとって、硬い執務机での淫行は暴挙以外の何者でもない。
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