四物語
2010/09/02 Thu
m25
男四人で集まって、怪談。
なんとも酔狂な話だが、いつもの酒席でも随分酔狂なことをしてきている自覚があるグスタフに異論はない。
結果、沈黙を賛同の証にし、グスタフも乾いた喉に酒を流しいれる。
デュオロンはいつもの無表情ながら、やはり異論はないらしく、グラスに口をつけている。
そんな中で、サイキカルが眉間に皴を寄せながら待ったを掛けた。
「おい、私は嫌だぞ」
「おや。少しでも涼しい気分を味わうために、趣向を凝らしたつもりですよ?」
「貴方のは只の思いつきだろう」
「まぁ、確かに思いつきではありますが…こうしてテーブルを囲んで、思いつき以外で何かした覚えもないでしょう?」
オズワルドの言葉にグスタフが突っ込みを入れるが闊達に笑われはぐらかされる。
言われてしまえば、グスタフにはそれ以上の言葉はないものの、サイキカルが続いて口を開いた。
「別段、怪談が怖いと言う訳ではないがな。この面子だぞ?」
胡乱気な視線とともに吐かれた言葉は、提案者であるオズワルドをしてうっかり頷いてしまいそうになるほど説得力があった。
確かにこの場にいる人間に、そんなに可愛らしい心臓をしている者はいない。
そう考えれば、サイキカルの言葉は真理をついている訳だが、オズワルドは笑みの一つでそれを黙殺した。
今までとて随分、酔狂な思いつきで酒宴を重ねてきている。
涼を得られないまでも、暑さを紛らわす程度に面白ければそれで良いではないか。
オズワルドの笑みの中にそんな声を聞いた気がして、サイキカルは数拍の間のあと、溜息一つで反論を諦めた。
そんなサイキカルにオズワルドは皮手袋に包まれた手を差し出した。
五指を揃えて自身へと向けられたサイキカルは僅かに首を傾げたが、その意味に気付くと頬を引きつらせた。
「では、サイキカルくんから参りましょうか」
「私からか!?」
てっきりオズワルドから話始めるだろうと高を括っていたサイキカルは思わず声を上げた。
その声の大きさに、瞬間的に酒場の視線が幾つか四人へと投げられ、離れていく。
視線が離れるのを待ってから、グスタフが悠々と酒を呑みながらサイキカルを急かす。
「散々渋ってたのはお前だろう。どうせ一巡はするんだ。さっさと終わらせてしまえ」
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