紳士ゲーム
2010/07/13 Tue
m25
「分かっているさ」
本当に分かっているかは定かではないが、歩き出すジェネラルの隣に並んだ。
こうして、過保護で完璧な紳士も恋愛ごとまではやんちゃではないらしい。
まるで初々しい限りだ、と自分のことを棚にあげてオズワルドは瞳を撓める。
ほんの少し酒気を帯びた身体と頭のお陰か、隣のジェネラルのお陰か、はたまたその両方か、まるで夢心地のように気分が良い。
首筋の件を問いただすのはベッドの上でしましょうか、と心中で呟いて、夜のデートを存分に楽しむことにしたのだった。
そんな風にオズワルドが幸せをかみ締めながら、恋人と家に帰り始めた頃、残ったデュオロンとサイキカルは、グラスに残る酒をゆっくりと楽しんでいた。
しかし、そろそろグラスの中の酒もなくなってきており、デュオロンは僅かに瞼を下げる。
このままサイキカルと二人で飲み明かすのも悪くないが、明日は早くから仕事が入っていた。
サイキカルを見れば、グスタフとオズワルドの出て行った扉をまだぼんやりと見やっている。
本日は随分と二人にからかわれた様だから、疲れたのかもしれない。
顔のよく似たサイキカルにはある程度の親近感もあり、
これ以上付き合わせることもないだろうと自分に言い聞かせた。
デュオロンはグラスに残っていた酒を飲み干して立ち上がる。
「――…さて、私もこれで…」
「待て」
声を掛けると同時に、扉から視線を外したサイキカルが低い声を出した。
中腰のまま、座りなおすことも立ち上がることもせずに首を捻る。
少し考えるような間を置いてからサイキカルは続きを声にした。
「今夜、泊めろ」
「…………」
表情変化がもともと少ないデュオロンは切れ長の瞳を僅かに細め、長い睫が目元に影を作った。
その視線を受け止めたサイキカルは、どこか子供に眉尻を微かに下げる。
「帰らないと、投げるほど心配されるぞ」
「待て、なんでそうなる」
「彼の家に帰るのだろう?」
カマを掛けるつもりで当てずっぽうを口にすれば、サイキカルはグ、と言葉をつめた。
デュオロンの記憶では、サイキカルはちゃんと塒を持っていたような気がするが、どうやら、恋の病は人も変えるらしい。
案外、集めたコレクションで自宅がパンクしたとかそんなことなのかもしれないが、件の人物の元が帰る場所だと認識している以上、色々と手遅れだ。
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