QLOOK?A?N?Z?X????

紳士ゲーム

2010/07/13 Tue
m25



「――…貴方は相変わらずだな」
「野次馬根性にも年季があるのでしょう。いえ、私は応援していますよ。サイキカルくんも、――…貴方も」

調子を崩さぬまま、オズワルドが腕を伸ばしてきて、グスタフは小さく鼻を鳴らした。
そうして乗り出すと普段から首元まできっちりと着込んでいるスーツが僅かに歪んで首筋が覗く。
その首筋に視線を這わせ、ふと、そこで天啓のような閃きが脳裏で爆ぜた。
しかし、名案を表面化させること無く、オズワルドの指先を十分にカードに引きつける。

「それは――…、」

絶妙な間合いで以って、低音を繰り出せば、オズワルドの指先が微かな痙攣が走る。
それを見逃すグスタフではなく、僅かにカードの位置を横へずらしながら続きを奏でた。

「虫刺されですか?」
「……………」

平静を装うオズワルドはそれ以上の反応を見せず、何食わぬ顔でカードを引いた。
けれど、グスタフは御得意のポーカーフェイスの裏で動揺が走ったことを理解した。
ジョーカーはにんまりと笑いながら、グスタフに別れを告げたのだった。

手札を揃えて、見比べる振りをするオズワルドだが、その実、覚えのある首筋が気になるのだろう。
オズワルドにしては珍しく、サングラスの奥でほんの少しだけ、視線がそれていた。
実際、グスタフにはそれが情交の痕であるか、虫刺されであるかは分からない。
しかし、動揺ぶりを見るに、どちらにしても、何処かの緑絡みで心当たりがあるのだろう。
老獪な紳士も形無しだ、とグスタフはほくそ笑む。
当人は何気なくネクタイを締めなおしたつもりだろうが、
あまりにタイミングが良すぎてグスタフは瞳を細めて笑った。

「―――…、」

更に追撃を掛けようとしたところで、グスタフの胸ポケットから場違いなメロディが聞こえてくる。
インストゥルメンタルではあるが、何処かで聞いたことのある割と新しい流行歌だった。

「着信音を変えたのか?」
「………子供の悪戯だ」

サイキカルの問いにはさらりと返すが、設定を弄らないのは面倒だからだ。と、誰も聞いていない言葉を付け足して、グスタフは携帯を取り出した。
ディスプレイに表示される名前を確認し、グスタフは「すまん」と一言断ってから、通話ボタンを押した。

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[Serene Bach 2.23R]