紳士ゲーム
2010/07/13 Tue
m25
「はい、ではこれを頂きましょう」
オズワルドはにっこりと笑いながら、ジョーカーの隣のキングを奪っていった。
最後の最後で爪が甘いグスタフを眺めながら、揃ったカードを山へ放り投げる。
「サイキカル……」
「お前が来るまでの時間に、近況報告をしていたに過ぎん。世間話だ」
漏洩元を低い声で名指ししても、口角を持ち上げてやりかえされるだけだった。
デュオロンはどれを引いても安全牌とオズワルドの札を一枚貰い受けていた。
その余裕ぶりが堪らなく業腹で、さらには一日に嬉しそうにしていた元凶の笑顔を思い出してしまい、撃沈気味だ。
フッと満足げに笑うサイキカルの横顔を見ていたデュオロンは、ふと思い出したように口を開いた。
「―――…それで、誰と彼を見たんだ?」
低音で紡いだ言葉は爆撃となってサイキカルの頬にクリティカルを出す。
笑みは喉を詰まらせたような声に変わり、咄嗟にデュオロンへ視線を戻すと、
そこには一枚減ったカードが迫っていた。
向こう側に見えるのは鏡のように似た表情の無い顔。
「それは、……誰でも良いだろう…!」
「私としても気になるな、お前の買い物に付き合う相手と言うのは」
「お前たちには関係ないことだっ」
サイキカルは突かれたくないとばかりにデュオロンからカードを引き、さっさと組みを作って手札を捨てるが、その程度でグスタフの追撃が止む事はなかった。
「また、例の趣味だろう。お前にそんな知り合いが居るとは意外だ」
「知り合いと言うか、あいつは―――…、ええい、違う。早く引け」
「ところで、」
グスタフは完全に仕返しの姿勢だったが、今まで黙って聞いていたオズワルドが口を挟んだ。
この面子の中でも最年長者であるオズワルドの観察眼に捕まるまいと、札を開きながら、努めて冷静にグスタフを視線で急かした。
「痣、増えましたね」
「!?」
「冗談ですよ」
思わず己の身体を見直したサイキカルは、喰えない老紳士にまんまと騙される。
朗らかに笑う姿はまるで孫をからかうように老獪だった。
無論、それに便乗してグスタフはカードを引く。
サイキカルの動揺ぶりを楽しんでから、丁寧に手札を混ぜて、オズワルドに向き直る。
横目で見たサイキカルは痛い所なのか、首がほんのりと染まっていた。
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