紳士ゲーム
2010/07/13 Tue
m25
純粋な運勝負にオズワルドが頷いた事で、今宵のゲームは決定した。
グスタフは男四人態々集まってババ抜きに興じると言う茶番に口角を上げたが、それもまた、一興だろうと思わせる何かがあった。
まるで単純とでも揶揄されたサイキカルだけが、半眼でオズワルドを睨んでいた。
(……まずい)
オズワルドが丁寧に配り終えた札を扇状に開くと、サイキカルは手札の中でほほ笑む死神を見つけてしまった。
一応、顔に出さず、揃っているカードを引き抜いて捨てていくが、出だしが悪すぎる。
サイキカルのカードを引くのは隣に座っているグスタフなのだ。
普段から近しい位置にいるだけに、ジョーカーに誘導するのは難しい。
テーブルの中央にカードの小山が出来始める。
この面子で最も勝率の悪いサイキカルは甘い酒で舌を濡らしながら、何とかグスタフにカードを引かせようと逡巡する。
(………このまま負け続ける私ではない…!)
ある程度、カードが出揃うとオズワルドはスターターをサイキカルに譲る。
カードゲームではオズワルドが場を仕切るのが常だった。
商売道具でもあるせいか、最も手際が良く、手慣れていたのだ。
「前回のこともありますし、サイキカルくんからで良いでしょう?」
前回惨敗したこともあり、反対意見はなく、やはりスタートはサイキカルからだった。
今回こそは汚名を返上したいと考えるサイキカルは手札を見やりつつ、グスタフに開いたカードを差し出して、ゆっくりと口を開く。
「時に、グスタフ」
「なんだ、サイキカル。死神に取りつかれたような顔をして」
早速手札が読まれているような揺さぶりを掛けられるも、サイキカルは動揺が顔に出る前に続きを口にした。
「最近、あのぼうやとは如何なんだ」
「………なっ…!?」
今まで余裕綽々で口元に薄笑みを浮かべていたグスタフは何処へやら、たった一言で、言葉に出るほどの動揺を引きだし、サイキカルは小さく笑う。
「おや、また火遊びですか?」
咎めるでもなく、茶化すでもなく、それでもきっちりとオズワルドは話に乗ってくる。
グスタフの正面に位置するデュオロンも興味があるのか、ゲームを急かすような真似はしない。
「―――…お喋りがすぎるぞ、サイキカル」
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