紳士ゲーム
2010/07/13 Tue
m25
何度投げられても、それでも彼へ近づいてしまう、彼の眼の届くところに来てしまう。
いっそもう、いじらしいと言うほどではないか。よく自覚に至らないものだ。
「帰れ」
もごもごと歯切れの悪いサイキカルに念を押すようにもう一声掛ける。
サイキカルは横顔を焦げ茶色の髪で隠して、唸るように反論した。
「………煩い、奴と居ると息苦しいんだ」
「――…………」
それは息苦しいのではなく、胸が苦しいのではないか。と思ったが、焦げ茶色の髪の合間から見えた肌がほんのり染まっているのを見て押し黙った。
これからどうやって、この仕方がない弟のような存在を彼の元へ帰すか。
そんなことを考えながら、デュオロンは息を吐き出しながら天井を仰いだ。
◇おまけ◇
「お疲れ様です、グスタフさん。すっかり忘れていてすいません」
自宅の近くで待ち合わせしたユウキを見つければ、グスタフが口を開くより先にユウキが頭を下げてきた。
その首元にはトレードマークとも言える赤いスカーフがなく、ライダースーツの広い襟ぐりから健康的な肌が覗いている。
「一枚しか持ってないのか」
「他のは全部洗濯しちゃったんで。色移りするから、いっぺんにするんですよ」
お陰で首元が涼しいです。と冗談を告げるユウキに溜息を零し、スカーフがあるグスタフの自宅に向かい、二人で歩き始める。
月明かりに伸びた影は細くて、あまり身長差が気にならない。
「今日は車じゃないんですか?」
「ああ、オズワルド達と飲んでいたからな」
「うわー…、何です、その楽園」
「お前、やっぱりスーツが……」
胡乱な眼差しを投げかけられて、ユウキは慌てて首を振った。
茶と金の二色が混じる髪がパサパサと揺れる。
「ち、違いますよ!」
「あまり、やんちゃしているとカァンされるぞ」
「ジェネラルさんも格好良いですよね、部門違いますけど憧れます」
「お前、中年なら誰でも……」
「違…っ! わしはグスタフさんばっかしに決まっとるんじゃから、そがぁなことを言って、かもわんでつかぁさい!」
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