紳士ゲーム
2010/07/13 Tue
m25
人間ではなく大蛇の一族であるグスタフを彼なりの軽口で茶化すのも珍しかった。
「ああ、気にするな。麻雀でないからテンションが可笑しいんだ」
「と言う事は、今日は――…ああ…、」
サイキカルが勝手知ったると言う風に言葉を添えると、グスタフも納得の声を上げた。
機嫌良さそうにオズワルドが何時もの笑顔を更に何割か水増しした顔でお得意のカードを取りだしたのだ。
「前回は彼に負かされてしまいましたのでね、ただのリベンジですよ」
ただのリベンジで済めば良いが、と口腔で相槌を打ちながら、グスタフは香りの強い酒を一口飲んだ。口の中にライチの味が広がる。
グスタフ、オズワルド、デュオロン、サイキカルの四人は皆、誰かと群れたり、集まったりする事が得意なタイプではなかったが、何故か妙に気が合い、思い出したように連絡を取り合っていた。
そして、それなりに多忙な各人の都合がつけば、他愛ない酒席を設けて、他愛無い事を語り合いながら、他愛無いゲームを楽しむ。
何時からそうだったのかは忘れてしまったが、然して居心地が悪いと言うわけでもないので、今日も今日とて、
男四人で顔を突き合わせ、酒場の隅を陣取っている。
「ポーカーは嫌だぞ」
「お前は顔に出るからな」
「お前たちがポーカーフェイス過ぎるんだ」
手慣れた手付きでカードを切るオズワルドを前にして、サイキカルとグスタフが言葉で戯れる。
サイキカルも決してオーバーリアクションな訳ではないが、他の三人に比べると感情の起伏が表面上に現れた。
オズワルドは言わずもがな。玲瓏たる美貌を崩さないデュオロンに、オロチ四天王の腹心であるグスタフだ。些か分が悪い。
グスタフだけは調子が良いと気が乗ってくるようだが、そうなってからでは遅い。
怒涛のラッシュを叩き込んで、結構な善戦を繰り広げるのだ。
「では、何に致しましょうか。私は何でも良いですよ」
余裕なのか、常なのか、楽しげな声でオズワルドが促し、持て余した時間をリフルシャッフルに使う。
グスタフはなるべく運に任せるゲームが良いだろうと頭を回す。
だが、答えが出る前にデュオロンが割り込んだ。
「ババ抜きでどうだ」
「スタンダードですが、ポーカーよりは彼向きでしょう」
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