青のカーテン
2011/06/30 Thu
m25
ヨハンはようやっと得た涼に目を細め、ゲーニッツへと寄せていた身体を離してソファへと寝転がった。
しなやかな肢体をのびのびと伸ばし、肌を舐める風にまどろむヨハンに、ゲーニッツは胡乱げな視線を向けた。
「冷房をつければいいでしょう」
「何を言っているゲーニッツ。今年の夏は節電なんだぞ?」
「邪教の教主が何を抜け抜けと…ッ」
「地球温暖化に歯止めも掛かるんだ。お前にとっても悪い話ではなかろう?」
口では何と言っていようと、風を止めようとしないゲーニッツにヨハンは満足げに笑みを深めた。
オロチ一族の導き手たるゲーニッツを扇風機代わりに使うことに、心は全く痛まない。むしろ、利用しない手はないだろうとすら思える。
ゲーニッツの腹心たる黒衣のワイヤー使いに知られたら開幕十割は免れないだろうが、幸いココにはゲーニッツとヨハンだけだ。咎められる心配もない。
ヨハンは自然風を頬に感じながらゆっくりと目を閉じた。
閉じていく視界で、ゲーニッツが酷く不機嫌そうな顔をしたのが見え、小さく噴出す。
散々煽られた挙句に放置されるのだ、それは不機嫌にもなるだろう。
ヨハンは束の間の休息を得るために意識を四散させながら、笑み交じりに呟いた。
「起きたら…ご褒美をやらんでもないぞ」
抗議なのか八つ当たりなのか、一瞬強まった風は窓を室内から揺らし、ヨハンの笑みを誘ったのだった。
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