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眠れぬ夜は七転八倒

2011/01/08 Sat
m25



「だが、眠らんとお前の身も持たんだろう」
「肉体強化を受けていない貴様と一緒にするな」
「寧ろ、その肉体強化の所為で燃費が悪いのだと思うがな」
「ならば、どうしろと言うのだ!」

いい加減、埒のあかないやり取りに業を煮やしたクローンゼロが大声を出す。
すると待ってましたとばかりにオリジナルゼロが口元に笑みを浮かべ立ち上がった。

「仕方がないな、―――…私が相手をしてやろう」

今度こそクローンゼロは血管が切れるかと思った。
怒りのあまり声も出せずに小刻みに震える傍らでオリジナルゼロは書類を纏め片付けていく。
クローンゼロの返答などまるで聞く気も無く遂行しようと言うのだ。

「ッ! 誰が貴様なんぞ抱くか!!」
「安心しろ、私が抱く側だ」
「なお悪いわ! 貴様何を考えている!?」
「社内規定には触れてないだろう」
「そういう問題でもないわ!」
「あまり大声を出すな」
「貴様が出させているのだろうがぁっ!!」

いかにも常識人ぶってクローンゼロを諌めようとするオリジナルゼロに全力で抗議する。
しかし、その抗議も虚しく、机を片付け終えたオリジナルゼロはコートを羽織り、ワークケースを手にすると扉を視線で示した。

「しかし、もう眠れずに何日も経つのだろう? そろそろ休まんと仕事に支障が出るぞ」
「グ…ッ、―――しかし、貴様となど冗談でも……」
「ほぅ、……冗談と割り切れもしないのか?」
「訳のわからん含みを持たせるな、誰が貴様など意識するか」
「ならば好都合だろう、手当たりしだい試してみたならこれも試してみれば如何だ」
「……………」

まるでペテンだ。クローンゼロは憮然とした面持ちでオリジナルゼロを睨みつける。
とっとと扉まで移動し、ライトのスイッチに手を添えているオリジナルゼロは軽く首を捻った。

「来るのか、怖気づいたのか。……どちらでも良いが早く決めてくれ」
「フン、誰が怖気づくか。貴様など踏み台にしてくれるわ」

意を決して身を翻すと尊大な物言いでオリジナルゼロの後を追った。
正直なところ、冗談でも何でもオリジナルゼロと寝るなど言語道断だったが、それ以上に侮られることに腹が立った。
それにこれで安眠出来るなら多少犬に手を噛まれても良い。と、それほどにまでに身体には疲労が溜まっていた。

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[Serene Bach 2.23R]