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眠れぬ夜は七転八倒

2011/01/08 Sat
m25


どうやら寝不足で相当頭の中も緩くなっているようだ。
クローンゼロは苛立ちを紛らわすように鼻を鳴らし、手に持つ書類をペシリと叩いた。

「貴様には関係ない事だと何度言わせれば……」
「制酸剤を飲むと良いそうだ」
「……………ほぅ?」

噛みつこうとした寸ででもっともらしい情報を得ると、つい耳を傾けてしまう。
睡眠不足に悩まされるクローンゼロだが、眠りたいことは眠りたいのだ。
七日連続で朝日を見れば、さすがに藁以下と見ているオリジナルゼロでも頼りたくなるのが本音だ。

「薬で胃酸を中和するのだな、もっとも夕食後でないと効果が薄れるそうだが」
「何故、もっと早くに言わん」

寝不足を秘密にしていたクローンゼロは横暴な溜息をついて肩を竦めた。
既に草木も眠る丑三つ時だ、何かを口に入れようとも思えない。
他には?と顎でしゃくって促すと、オリジナルゼロは少し考えてから足を組み直す。

「犬や猫は寝室に入れない方が良い」
「なんだ、それは?」
「犬や猫の寝息や気配が気になって眠りの妨げになると言う話だな」
「貴様であるまいし、そもそも犬など飼っておらん」
「グルガンはライオンだ」
「そんなことを言っているわけではないっ!」

明後日な返答を飄々と返すオリジナルゼロへ盛大に突っ込みを入れる。
手にしていた書類を顔面目掛けて叩きつけなかった理性は称賛ものだと自賛した。

「あとはそうだな……、セックスをすると良く眠れるらしい」

一応ながら大人しく聞いていたクローンゼロはビキッとこめかみが引き攣らせた。
性欲なんてありませんと言うストイックな顔をしているが、所詮こいつも中年なのだ。
眉間に深い皺を刻んで半眼で見てやれば、軽い微笑を浮かべて返してくる。
裏切られた期待値と相まって、余裕綽々の態度が一層気に入らない。
仮にクローンゼロが誰かにそんなことを言えばセクハラでセルハラに雪崩れ込むこと必至だろう。

「そんなことの為に女が買えるか、馬鹿馬鹿しい」
「買わないと居ないのか。お前も不器用だな」
「フン、別に欲しいとも思わんわっ」

語気が強くなってしまったのは図星だからではない。決して。
そもそも昼夜問わず働き詰めの身で女が囲えるか。と、クローンゼロは言い訳を脳内で並べ立てる。

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[Serene Bach 2.23R]