師走の恋人
2010/12/03 Fri
m25
たっぷりと浴槽に湯を張ったため、脱衣所まで白い蒸気が充満して冷えた肌を柔らかく温めていく。
オズワルドの唇が薄く開き、小さく吐息が漏れ、酷く億劫そうに腕を動かしてシャツを脱ごうとする。
横抱きにしている不安定な状況で動かれると、決して落とすことはしないもののバランスが危うくなる。
腕に伝わる体温が、いつもよりずっと冷えているのを考慮すれば、本当に早く温まりたいのだろう。
ジェネラルは足先からゆっくりとオズワルドの身体を下ろすと、腰を抱き寄せて自らに凭れかけさせた。
「私が脱がせよう」
「―――閣下が言うと、何か意味深に聞こえますねぇ…」
「……君は大人しくしていたまえ」
幾分調子を取り戻してきたのか、やんちゃな声が耳を打つ。
それでも腕が持ち上がってこないあたり、今日も忙しかったのだろう。
ジェネラルは短く切りそろえられた髪に顎を乗せて、背後から抱きしめるように腕を回すと、シャツの鋲を一つずつ外し始めた。
「毎年の事とは言え、大変だな」
「いえいえ。私などより若…アーデルハイド副社長の方がお忙しいですよ」
「ルガールはどうしたのかね?」
「十時の時点で、『飽きた。トーナメント荒らしてくる』と言い残して消えました」
「――――…そうか」
オズワルドの声が低くなるのは仕方のないことだろう。
若くして奔放な父親に苦労を掛けさせられている真面目で常識ある若者をそのまま放っておくなどオズワルドが出来るはずもないのだ。
だとするならば、己の仕事に加えて、抜けたルガールの分の仕事もこなしてきたということになる。
そう考えると、よく途中で力尽きなかったものだといっそ感心してしまう。
昼食も取れないほどの激務だと聞いているから、今日も食べてないのだろうし、何よりこんなに細い腰をしているくせに何処にそんなスタミナがあるというのか。
思わず繁々とオズワルドの裸体を見やり、抱き寄せた細い腰を労わるように撫ぜる。
冷えた肌にジェネラルの掌の熱が心地良いのか、それとも立っているのか辛いのか、凭れかかる重さが増した。
両肩を支えるように掴むと、小さく笑んで口を開いた。
「さて、私は食事の準備をした方がいいかね?」
オズワルドのことを考えるなら、このまま湯に浸かっている間に食事の用意をしていた方が効率的だ。
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