お気に召すままベッドの上で
2010/11/12 Fri
m25
酒と同じ滑らかな感触を堪能し、オズワルドが唇を食むように声を続ける。
「みなまで言わずともわかります。私も相当飲みましたから」
「……君は何でもお見通しか、適わないな」
「いえ、私も二日酔いなんて何十年ぶりか忘れてしまいましたよ」
あやふやな記憶の中で甘いキスに伴う香りだけは覚えがあった。
もっと記憶を探りたくて、離れていく唇を名残惜しげに見送ってしまう。
そのあからさまな眼差しにオズワルドが切れ長の瞳を細めて見せた。
「……閣下、本日の予定は?」
「昨日も言ったが、ない」
まるで茶化されたような気がして、反射的に言葉を返してしまうが、口にした瞬間、ジェネラルは後悔した。
酒の席の話は覚えているくせに、その後の忘却を開き直ってしまったように聞こえたのだ。
しかし、オズワルドはまるで気にした風でもなく、楽しげに瞳を撓ませ、ジェネラルの予想通り茶化すように念を押してきた。
「本当ですか?」
「……しいて言えば、君を捕まえておくくらいだ」
「………おや、それは案外、大変な作業かもしれませんよ」
少し肌寒いのか、自らの肩をシーツに押し付け、身を捩る。
細い身体には削ぎ落とされたような必要最低限の筋肉がついており、紳士然としたシルエットが浮かび上がった。
こめかみを枕に沈めたまま笑うオズワルドはもしかしたら、二日酔いの頭痛に悩まされているのかもしれない。
ジェネラルは音もなく腕を持ち上げ、風をシーツに誘い込まず、オズワルドの耳に触れる。
「そうだろうか? ――…こうして、」
外耳のラインを撫でながら、腕を首裏に回し、背骨に沿わせて掌を下ろすと、力強く痩躯を抱き寄せた。
当然のようにもう片方の腕も追従し、両腕で輪を作ってオズワルドを捕まえる。
逃げないオズワルドを捕まえておくのは難しくない。
「二本の腕で事足りる」
体温同士が繋がって、温もりを共有すれば胸の奥から満ちていく。
オズワルドはジェネラルのやりように音もなく喉を振わせて視線を合わせる。
その瞳がどこか挑発的に思えるのは、初夜の朝を自覚しすぎないように力を込めているからだろうか。
「私が、ただ捕らわれて大人しくしていると思いますか?」
「やんちゃなのは君だけではない」
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