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祭祀様は眠らない

2010/08/26 Thu
m25



「これで、ご満足ですか」

今までの流れを汲むのなら、これだけで終わるはずもなさそうだが、流石に男の裸を見て興も冷めたかもしれないと、グスタフは静かに問いかけた。
しかし、そんなグスタフの思惑をゲーニッツはあっさりと打ち砕く。

「いいえ、今度はベッドに上がって腰を上げてください」

危うく立ち眩みで倒れそうになった足に力を込めて、笑みを浮かべるゲーニッツに視線を投げた。
試していると言うよりも、純粋に今の状況を楽しんでいるように見えて逃げ道のなさを知る。
ゲーニッツが同性も性的な対象として見ることが出来るなど知らなかったが、それはそれで個人の趣味嗜好の問題だ。グスタフの持つ忠心に変わりはない。
だが、その対象圏内に自分もいるなどとは考えたこともなかった。
今更ではあるが、得体の知れない空気に体中から力が抜けていく。
ぐったりと項垂れながら、グスタフは諦めたようにベッドに上がった。
しばらく耐えれば、この時間も過ぎ去り、ゲーニッツも満足して身体を休めてくれるはずだ。
それだけを願ってグスタフは両手をシーツの上に付き、四つん這いの、まるで獣のような体勢をとった。
その瞬間、足元から熱が炎のように湧き上がってくる。
グスタフをまず支配したのは屈辱で、その次に羞恥が裸身を包み込む。
それでも膝を折り、許しを乞うわけにはいかないのだ。
硬い腹筋に緊張が走り、それを見越したかのようにゲーニッツが手を伸ばしてくる。
傷の少ない脇腹を撫で上げながら、肩を経由し、グスタフの手甲をゆっくりと包み込む。
ゲーニッツの吐息を耳裏で感じ、布越しの体温を背中で味わって、グスタフは強く目を閉じた。
この時間が一秒でも早く終わるよう、そればかりを考えて、自分の中に生まれる熱い感情から目を逸らす。
これは祭祀様の戯れであって、口煩い部下への仕置きであって、忠心を試す儀式であるはずなのだ。
余計な感情を抱いて、行為の邪魔をするわけにはいかない。
献身的にもそう結論付けたグスタフは自分に言い聞かせるよう、息を吐き出した。

「―――…っ」

しかし、薄く唇を開いた途端、指が口腔へ侵入してきた。
いや、侵入というほど優しいものではない。むしろ、こじ開けるように突っ込んできたという方が正しい。

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[Serene Bach 2.23R]