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祭祀様は眠らない

2010/08/26 Thu
m25


ふむ、とゲーニッツは少し考えてから、グスタフを解放して指先でベッドを指し示した。

「では、服を脱ぎなさい」
「!?」
「私を寝かせてくれるのでしょう?」
「…………」

驚きを敷いたグスタフの瞳は即座に伏せられて、僅かに顎を引いて頷いた。
さすがにこれから何が起こるかわからないほど、物知らずではない。
だが、それでもグスタフの中に拒絶の感情は起こらなかった。
もはや、ゲーニッツが寝る寝ないの話ではなく、グスタフ自身の忠誠を試されているも同然なのだ。
敬愛する導き手に不信を植え付けるくらいなら、ネクタイだろうとスーツだろうと何もかも必要ない。
グスタフはゆっくりと立ち上がり、青いネクタイに手を掛ける。
ノットに指を差し込んで形を崩すとシュルシュルと布の擦れる音が立つ。
静かな部屋の中でその音が一際大きく聞こえて、耳に熱が溜まった。
ゲーニッツに背を向けながら、ベッドの前までたどり着くとネクタイを解いて床に落とし、ジャケットも脱ぎ捨てた。
シャツの釦も外し、腕を抜くとよく鍛えられた肢体が外気に晒される。
薄手のシャツも脱いでしまうと何故か酷く頼りない感情に襲われた。
しかし、ここで止めるわけにいかない。背中にはゲーニッツの視線を痛いほど感じるのだ。
動揺を表面化させないように気をつけながら、ベルトに手を掛けるとポン、と肩に手が置かれた。
声を上げることはなかったが、指が止まる。
いつの間にか背後までやってきていたゲーニッツが広い肩を抱くように腕を回してきたのだ。
そっと耳裏に吐息を吹きかけられて、低音が耳のすぐ傍で鼓膜を擽る。

「手が止まっていますよ」
「も…、…申し訳ございません…」

素肌に移ってくるゲーニッツの手を冷たく感じるほど、グスタフの身体は温まっていた。
空いている掌にさらりと鍛えられた胸板を撫でられて、小さく息を詰めた。
まるでグスタフを急かすように指先は鎖骨を撫でて、筋肉のラインに沿って弄ってくる。
グスタフはあまりの現状に頭を抱えたくなりながらも、ベルトに手を掛け、下着ごとスラックスを脱ぎさった。
纏うものがなくなるとゲーニッツは小さく息を吐き出す。
その反応にさえ怯えてしまう自分を自覚して、グスタフは自らを叱咤しつつ、胸板を這うゲーニッツの手に、己の掌を重ねた。

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[Serene Bach 2.23R]