QLOOK?A?N?Z?X????

黒龍の優雅な晩餐

2010/10/28 Thu
m25



ヨハンはその名を舌の上で嬲る。裏社会では割と有名な名だ。
強者ばかりを集めた大会の主催者だとか、生粋の戦闘狂だとか。
オロチだとかいう一族を調べれば、高確率でヒットする名前でもあった。
他の何にも眼中になく、ただひたすらに力を求める男だと聞いていたヨハンは、ルガールがこの場に来た理由を正しく理解すると、小さく頷いた。

「なるほど。黒龍にまで手を出そう、という腹か」
「そういうことだ」

問いかけでもない確認の声に、ルガールは尊大に頷いて見せた。
人工色に煌く右目は暗闇の中でも煌き、それが獣の瞳孔のように思えた。
ヨハンはゆっくりとコートを肩から落とした。
その濃紫色が床に着く前に、ヨハンの気に当てられて炎に巻かれると、ルガールの視線が興味深そうにヨハンへと注がれる。

「三文役者を当てた詫びだ。―――お相手致そう」

それと分かるほどの闘気を纏えば、ルガールの頬にも笑みが浮かぶ。
逞しい喉仏を揺らしながら、ルガールもまた戦いの構えを取った。

「……貴様の力、取り込んでくれよう」

傲慢に嗤うルガールに、ヨハンは腕に力を纏わせることで応える。
全ての音が二人の闘気に当てられて一瞬止んだのち、狂気の死闘が幕を開けた。





長い戦いの後に、最後に立っていたのはヨハンだった。
消耗はしているものの、そもそも人の身ではない身体ではそう簡単に消滅することはない。
軽く呼気を吐いて疲労を受け流すと、視線をルガールへと向ける
己の負けを認めると同時に自爆を選んだルガールを、ヨハンは容易く現世に引き留めた。
くすんだ金髪を鷲掴み、首に多大な負担を掛けさせながら顔を反らせる。
ぶちぶちと頭皮から髪が抜け、手に絡まる。
ヨハンの手はルガールの血で染まっており、金髪が赤く斑に染まっていく。
金色の太陽が黄昏を迎えた様に似ていて、ヨハンは紅玉の瞳を和ませながら喉奥で嗤った。

「悔しいか?」
「……力が得られないのが、惜しくはある」

猫撫で声で問いかける勝者の声に、敗者たるルガールはしっかりした声で答えた。
声を出したことで、ルガールの口端から血が流れる。
口内を切ったというより、内臓へのダメージが大きいのだろう。
独特の喘息音が聞こえないから肺は無事だろうと判じたヨハンは、すい、と顔を寄せた。

[7] << [9] >>
-
-


<< 祭祀様は甘くない
Sleeping Baby >>
[0] [top]


[Serene Bach 2.23R]