危ないカンパニー
2010/09/26 Sun
m25
カチカチに固まり、冷や汗と共に告げられた謝罪に、オズワルドは今一度深い溜息を吐き出す。
最近の女性はやんちゃで困りますね。と此処には居ない当事者の口癖を口腔で嬲ったのだった。
「それは災難だったな、オズ」
しかし、彼女は相変わらずだな。と笑いながら度数の低い酒の入ったグラスを傾けるジェネラルは、
どう見ても人に降りかかった災難を労わっているようには見えなかった。
丁度、任務明けで気が浮かれているのかもしれないが、
オズワルドとしては貴方もですか、ブルータス。と毒を吐きたいところだった。
研ぎ澄まされた鋭利な毒をグッと我慢して飲み込み、尖りそうになる唇にグラスを押し当てて酒を煽る。
その姿に稚気を感じたのか、また低い笑い声が鼓膜を擽ってきた。
胡乱な視線をサングラス越しに投げかけながら、強い酒で喉を潤し、
グラスをテーブルに戻して本題とばかりにオズワルドは笑い声を遮った。
「――――時に閣下」
「なんだろうか?」
穏やかな声を紡ぐ低音に眼を細めながら、剣呑な目つきでジェネラルを見やる。
手の中のグラスがカラン、と音を立てたのを機にストレートな確認をぶつけた。
「…よもやとは思いますが、誰にも言ってませんよね?」
主語を抜いた言葉に、ジェネラルはおかしそうに小さく笑ってみせた。
その笑みを見咎めたオズワルドが不満そうに眉を寄せると、取り成すように咳払いを挟んで言葉を返した。
「貴方にそう思われているとは心外だな」
「……彼女の話が出来すぎてるからですよ」
誤魔化すような色が言葉尻に見えて、オズワルドは口元に冷たく薄い笑みを浮かべた。
不満を連ねていた面持ちは、長い年月を経て完成された微笑と摩り替わる。
「今一度問いますが、宜しいですか?」
念を押すように問われて、ジェネラルは小さく息を飲み込んだ。
問うてくるオズワルドの瞳に真剣にして明らかな色が見えたからだ。
その上、懐から取り出すトランプがキラリと光った気がして、ジェネラルの額にじわりと汗が浮いた。
「オズ、私は無実だぞ」
「無実かどうかは身体の方に聞きたいのですが」
アルカイックスマイルを浮かべて、ゆっくりと立ち上がるオズワルドの背後に黒いオーラが見える。
[7] << [9] >>
-
-
<< 角砂糖一つじゃ足りません
Nail clipper >>
[0] [top]