M25 ただの物置。

Lesson 00



!注意

オリジナルゼロ×クローンゼロで本番無しのR18話。
オリゼロ様が軽くSなので注意。


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事の始まりは至極簡単なことだった。


今日も今日とて大量の書類と格闘していたクローンゼロの元に、文字通り山のような書類が持ち込まれたのは正午を過ぎた頃だった。
書類はネスツの最高責任者であるイグニスの元から送られてきたもので、想像通り、殆どの書類は未決裁のままだった。
クローンゼロは、自らの処理速度を正確に把握しているので、大量に送られてきた書類を鼻で嗤ったのち、速やかにイグニスへと送り返した。

しかし、である。

敵も然るものながら、そんな反応は想定内だとでも言うように、書類を送りつけた直後に姿を眩ませていた。
捜索部隊を出動させようとしたクローンゼロは、送られてきた書類を数枚捲ったところで、頭を抱えた。
その書類は、本来ならば先月末に処理されているべき案件だったのだ。
もう今月も半ばを過ぎているのに、こんなところで止めているわけにはいかないのだが、現在クローンゼロが抱えている。
案件とて、今月初めにイグニスから回された面倒なものだった。
如何に組織の内部で高位に位置するとはいえ、最高責任者が受け持つべき案件を二つも抱え、送られてきた大量の書類をこなし、なおかつ自分の仕事を進めるなど不可能に近い。
クローンゼロは悩んだ末に、社用の端末を立ち上げると、直接回線で繋がった同僚へと連絡を入れた。
頼るのは業腹ではあるものの、クローンゼロの処理能力に限界がある以上、ここで仕事を滞らせるわけにはいかない。
何より、イグニスのお守りをするのは同僚の管轄だ。監督不行き届きの責任は十分にある。
ネスツの内部において、クローンゼロが仕事を任せられる相手は限られているというのもあり、クローンゼロは何の衒いもなく、オリジナルゼロへと文字通り仕事を投げ渡した。




それが如何してこんなに不可解な事態に陥っているのか、当事者であるクローンゼロにも分からなかった。




ぴちゃり、と。
粘液が絡まる音が響く。
舌を這わせながら、唾液を擦りつけていると、頭に添えられた手に少しだけ力が篭った。
荒々しくはないものの自らの欲に一層近づけさせるような仕草に、クローンゼロの眉間に皺が寄る。
その反応に気付いているのかいないのか、遥か頭上で密やかな笑気が零れた気がした。
太腿へと置いた指先で爪を立てると、その気配は増した。

『お前が私を頼るとは、珍しいな』

耳の奥で、そんな声が蘇る。
何処か面白がるような、弾んだ声だ。
何かを企んでいるくせに、それを隠そうともしない笑みを敷いたオリジナルゼロに、クローンゼロは鼻を鳴らした。

『誰が貴様など頼るか。利用してやっただけだ』

事実を事実として言えば、オリジナルゼロは静かに喉を鳴らした。
日付変更線は疾うに越えて、深夜残業に勤しんでいるのはお互いのみ。
クローンゼロにもオリジナルゼロにも仕事は山のように残っているなかで、クローンゼロがオリジナルゼロの執務室を訪れたのは単にオリジナルゼロの元で止まっている回覧文書を取りにきただけだった。
目的の書類はオリジナルゼロの手の中で一つにまとめられているところだ。
それが手に入れば、さっさと自らの執務室に引っ込むつもりでいる。
既に何日か社泊を敢行している身としては、今日こそ寝台に倒れ込みたい。
クローンゼロは差し出された書類を片手で受け取ると、長居は無用とばかりに手を引いた。
しかし、書類は結果としてクローンゼロの手に渡ることはなかった。
否、クローンゼロの手で掴んではいるのだが、オリジナルゼロが添えた手を離さなかったのだ。
書類という共通の媒介に片手を取られクローンゼロは訝しがるような視線をオリジナルゼロへと向けた。
すると、まるでその瞬間を待っていたかのように、オリジナルゼロは穏やかな笑みを一層深めて見せた。
クローンゼロの背筋を、冷気を伴う危険信号が走り抜けた。

『お前で良いぞ?』
『何がだ』
『私を使った駄賃だ。金も酒も面倒だろうから、お前で良い』

耳を打つ声は、成程。クローンの若造が傾倒する程度には穏やかなのかもしれない。
けれど、その言葉が持つ意味は酷く下世話だ。

『―――とうとう脳が沸いたか』

オリジナルゼロの外面に丁寧に隠された、こんなにも下品な獣を誰が知るだろう。
クローンゼロは渾身の力を込めて書類を奪取した。
無理に奪った為、書類の端が破れて、オリジナルゼロの指先に残る。
重要書類ではあるが、紙の束よりも我が身が可愛い。
クローンゼロは凍りつくような視線で以って、未だ椅子に腰かけるオリジナルゼロを尊大に見下ろした。

『酷い言い草だ』

どれ程凍てつく視線だとて、喉の奥で笑みを転がせるオリジナルゼロには決して利かないことを経験として知っていた。
そんなことを理解するほど長い間、こんなやり取りをしているのだと思えば、これ以上下がる余地もないと思われた機嫌が地の底へと沈む。
クローンゼロは谷のように深くなった眉間の皺を親指で押え、鬱陶しそうに片手を払った。

『溜まってるなら女を買え』
『世間体があるだろう』
『知ったことか』

オリジナルゼロの正論を拒絶の一刀で切り捨てると、笑気が耳を打った。
クローンゼロはそれに取り合わず、そのまま執務室の扉へと身を翻した。
その動作に合わせて、黒いコートの裾が風を孕んで弧を描く。
目的のものは既に手の内にあるのだから、さっさと仕事を終わらせて今日こそ帰宅する。
クローンゼロはオリジナルゼロの存在を綺麗に除外すると、閉じられたドアノブへと手を掛けた。
その手がノブを回し、僅かな金属音を奏でると、狙ったかのように笑みを含んだ声音が静かな執務室に落ちた。


『―――ああ、『恥ずかしい』というなら、諦めるが?』


忌々しい声が脳に響き、クローンゼロはその場で手に持った書類を叩き落とした。


そして、今に至る。


オリジナルゼロのコートの前を割り、下肢の前に膝を付きながら、クローンゼロは眉間に皺を寄せた。
腹の底から気に入らない相手の股間に顔を埋め、竿に唾液を擦りつけているのだと思えば思わず歯を立てたくなる。
けれど、そんな不穏さを察知するたびに、オリジナルゼロの手が咎めるように耳の裏を引っ掻くのだ。
その手際の良ささえ忌々しく、クローンゼロは舌に乗る先走りを再び竿へと擦りつけた。
煌々と明るい執務室に卑猥な水音が響く。

「―――ふふ…」

ほの暗い笑気がオリジナルゼロの唇から零れる。
顔を見ずとも、どれほど残虐で酷薄な笑みか想像がついた。
穏やかな笑みと道理を得た言動で惑わされる者も多いが、この男とて裏側の生き物だ。
他者を屈服させることに高揚を覚えるのは、クローンゼロばかりではない。

「舐めるだけでは終わらないぞ」

唆すような声が頭上が零れる。
舌と唇に乗る熱は常よりも高まっているものの、確かに決定打には足りないだろう。
クローンゼロは唾液に濡れて卑猥に光を弾く欲を口腔に招き入れた。
体格に恵まれたオリジナルゼロの陰茎は相応の大きさで、喉奥までの侵入を許しても全てを飲みこめない。
口を窄ませて、内頬を男根に密着させると、欲の塊が舌の上で小さく跳ねた。

「……は…っ」

大きさを増した男根に呼吸を阻まれ、吐息が絡まる。
すると、太腿に添えた手を取られ、両手すら下肢へと導かれた。
口だけではなく、手まで奉仕を強要され、クローンゼロの眦がつり上がる。
思わず顔を背けようとすれば、抵抗出来ない強さで頭を固定され喉奥を穿たれた。

「――――ぐっ…が…ッ」

呻き声も呼吸も喉奥で潰され、聞くに堪えない無様な声と水音が脳の奥で木霊する。
酸素を求めて、オリジナルゼロの足の付け根に爪を立てたが、何の効力もありはしなかった。
むしろ、抵抗めくその動作が気に入らないと言わんばかりに頭を掴んだ掌に力が篭る。
逃げようもなく、かといって受け入れられるほど生易しいものでもない。
酸素不足で視界が涙で滲むと、酷く尊大な視線が注がれた。

「良い顔だ」
「ッ!」

精神まで嬲る声に、クローンゼロは口腔で踊る熱に歯を立てた。
しかし、その前にオリジナルゼロは親指を口へと捻じ込み、力に任せて歯列を押し上げる。
がくん、と顎を無理に開けられ、陰茎が一層奥まで侵入し、酷い吐き気に襲われた。

「――――ッ」

最早呻き声すら音にならない。
クローンゼロの口腔から零れるのは水音と摩擦音だけで、オリジナルゼロの荒い息が遠くで聞こえる。
一秒でも早くこの戯事を終わらせようと、クローンゼロは口腔を蹂躙する熱に舌を押し当て、凍り付いていた手を根元に絡めて裏筋を引っ掻く。
水音と摩擦音が一層まして、舌に乗る苦みの量が増した。

「―――…出すぞ…っ」

切羽詰まったような声が遠い。
クローンゼロは反射的に瞼を強く閉じて顎を引いた。
力任せに瞑った眦から、衝撃に負けた雫が零れる。
それを知覚する間もなく、熱い飛沫が喉を濡らした。

「ん…ぐ…ぅ…」

口腔に収まる陰茎は暫く吐精の余韻に浸ると、舌の感触を愉しむようにゆっくりと引き抜かれた。
舌に乗る白濁は濃厚で、唾液に混じって口の端から零れる。
溜まっていると言ったのは当てずっぽうだったが、量も濃さもそれを裏付けるように喉に絡んだ。
散々粘膜を苛められたクローンゼロは手の甲で口元を拭うと、そのまま立ち上がる。
立った瞬間に立ちくらみが脳を襲ったが、そんなものに取り合っている場合ではない。
大股で扉まで歩み、叩き落とした書類を乱雑に集めると、今度こそ何も待たずに扉を開いた。
その背中に、オリジナルゼロの弾んだ声がかけられる。

「また私を頼ると良い。無償ではないが、良い働きをするぞ」

クローンゼロの手の中で、ドアノブが壊滅的な音を奏でる。
一瞥もくれることもなくドアを開けると、クローンゼロは足音荒く退室していった。
力任せに閉じられたドアが、破壊音かと思うほどの強さで軋む。
気配は遠ざかっていくにつれ小さくなるものの、殺気は色濃く薄れることはない。
オリジナルゼロは肩を揺らして片手を口元に当てた。


「―――やはり、褒美はお前に限るな」


次にイグニスが仕事から逃げるのは、いつ頃だろうか。
確かな日時は分からないまでも、それは近い内だと確信はある。
きっと仕事をクローンゼロに押しつけていくであろうその日が、今から待ち遠しくて堪らない。
満足気な笑気が執務室を満たしたのち、次回の戯事を楽しみにしながら、オリジナルゼロは再び山のような仕事へと没頭していった。






【オマケ】

自らの執務室へと戻ったクローンゼロは、人が殺せそうなほど鋭くなった視線を床へと捨てた。
否、正確には床では無く、視線の先はもっと下世話な場所である。
クローンゼロは心底忌々しそうに片手を下肢へと当てると、布越しでも分かるほど反応した熱に痛烈な舌うちを漏らした。
多忙を極める身の上なのはお互いの共通事項だ。
オリジナルゼロに溜まっているのなら、それは同じサイクルで仕事をこなすクローンゼロにも当て嵌まる。
散々淫気に中てられた身で、何事も無かったように仕事など出来るわけもない。
クローンゼロは奥歯を噛み締め、手に持った書類を執務机に叩きつけた。

「―――二度とするか……ッ!」

上機嫌に笑いながら仕事を再開しただろうオリジナルゼロと、逃げ出した元凶にあらゆる呪詛を吐きながら、クローンゼロはコートの裾を割った。
クローンゼロの執務室から水音が響くのに、そう時間はいらなかった。

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