M25 ただの物置。

指先の駆け引き



!注意

オズワルド×ジェネラルでR18話。
紳士×紳士ではなくむっつり×むっつりなので注意。
キャラ別人、怒甘、自慰ネタ等苦手な方も注意。


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最近のオズワルドの忙しさは仕方がない事だ。
運送業に限らず、年の瀬はどの職種も慌しさを増すというのも理解している。
事実、ジェネラルが属する軍部とて平時に比べればずっと忙しくなっているのだ。
戦時とまではいかないまでも全ての部署が慌しく、常とは違った活気に満ちている。
それは軍内で上位に位置しているジェネラルとて例外ではなく、式典や祭典といった堅苦しいスケジュールが詰まっていて慌しくはある。
けれど、スケジュールの殆どが式典や祭典、礼典への出席であるため、残業といった時間外業務は少なく、夜は自宅へと帰れる日々が続いている。
そのため、この時期のジェネラルの夜の予定は古馴染みと呑みに行く程度のものしかなく、何もすることがない夜が圧倒的に多かった。
だからといって、オズワルドの多忙さを不満に思っている訳では決してない。
長らく、暗く冷たい裏社会で生きてきたオズワルドが日の光を浴びながら働いているのはむしろ喜ばしい事だとさえ思っている。

それはジェネラルの紛う事ない本心だ。
ジェネラルは心の底からそう思っている。
だから、自分の行為が酷く居たたまれなかった。







「――――…は…ぁ……」

暗い寝室に小さな吐息が落ちる。
ジェネラルは耐えるように眉間に皺を寄せて、薄く開いた唇から熱を吐き出した。
鍛えた上体を僅かに屈め、傷だらけの両手で欲を慰めると、呆れるほど容易く反応を示した。
立てた膝で隠そうとしても、見下ろすジェネラル自身からははしたなく起立した性器がよく見えた。

「ん……く…ッ」

掌で何度も摩擦すれば、先端から淫液が溢れる。
ひくひくと震える陰茎に指を絡めれば、零れる雫が目に見えて増した。
シーツを汚さないように、指先で先走りを掬い、竿に塗りつけると聞くに堪えない水音を耳が拾う。
呼吸に混じって、揺れる声が出るたびに唇を噛んで愉悦に耐える。

「―――ふ…ッ」

明らかな熱を孕んだ吐息が羞恥を煽り、ジェネラルは瞼を強く閉じた。
しかし、そうすることで聴覚が鋭さを増して、粘性の高い水音が一層耳に絡んだ。
隠しようもない熱を両手で包みながら、閉ざした視界の中で思い描くのはたった一人で、ジェネラルは奥歯を噛み締めた。
思考の――記憶の中のオズワルドは指先でステップを踏むようにジェネラルの肌を擽る。
鍛えられ、傷だらけの硬い肌を楽しげに撫で、首筋や鎖骨に歯を立てて淡い朱色を咲かせる。
常は冷たい指先が、ジェネラルの体温に暖められて熱を有していく。
余りに楽しそうなオズワルドに耐えられず、苦し紛れにそれを指摘すれば、ポーカーフェイスを僅かに崩したオズワルドが唇を耳元へと寄せて囁いた。

『―――閣下、誰に触れているとお思いですか?』

端的に、ジェネラルに触れているから昂ぶっているのだと白状されて、止めようもない体温はさらに上昇する。
このまま燃えてしまうのではないかと危惧するほど皮膚が焼けて、ジェネラルは小さく呻いた。
その反応に殊更機嫌を良くしたオズワルドが、ジェネラルの唇を舌で舐め上げる。
数度往復し、湿らせたところで薄く開いた唇を舌で割り開く。
つるりと舌触りの良い歯列を辿り、小さく震える舌を捕らえると、酸素を奪うように情熱的にキスを重ねた。
粘膜を絶えず刺激し、零れる嬌声をオズワルドへと注ぐと、指先は無慈悲に奥まった秘所へと侵攻する。
余りの羞恥に耐えかねて、覆いかぶさる痩躯を押し返そうと腕が動くと、舌先で上顎を擽りながら、片手で胸の頂を引っかかれ、腕が止まった。
肉粒を弾いた指先はそれだけに留まらず、掌全体で胸を撫で上げ、先端を指腹で押しつぶし、ジェネラルの抵抗を殺いでいく。
そうしている間にも、秘所へと伸ばされた手は丁寧に襞を伸ばして、ジェネラルの身体を熱で浮かしていった。

『…オズ…ワッ…』

泣き濡れた声で名を呼ぶと、まるでそれが合図であったかのように、長い指が秘所へと押し入った。
指はジェネラルの性感を捕らえると、繊細な手つきで媚肉を摩擦して慎ましい後孔を暴いていく。
胸を弄ぶ掌に逸る鼓動を伝えるように息を弾ませ、水を含んだ視界は歪んで全てのものがぼんやりとしか像を結ばない。
明瞭な視界を取り戻そうと幾度も瞬けば、堪えきれなくなった涙が頬へと流れていった。

『…閣下…』

零れた雫は、オズワルドの舌で掬い上げられた。
舌はそのまま軌跡を辿り、熱を孕んで赤く腫れた眦への労わるようなキスに変わる。
濡れた睫まで口付けられ、ジェネラルは吐息を漏らして視線をオズワルドへと向けた。

『…も、ぅ……ッ』
『はい?』

限界が近いのを理解していながら、気づかぬ素振りで首を傾げてくる姿は憎らしいほど常と変わらない。
太腿に当たるオズワルドは誤魔化しきれないほど熱を有しているくせに、ポーカーフェイスを気取ってジェネラルの精神を嬲ってくる。
赤く染まった顔で睨んでも何の効果もないと理解していながら、それでも視線が険を孕む。
ジェネラルは奥歯を噛み締めながら、胸に置かれた手に爪を立てた。

『―――もぅ…いい、から…ッ…』

羞恥で揺れる声は、自身で聞いても聞き苦しいことこの上なかったが、オズワルドとっては違ったようだった。
今まで絶え間なく蠢いていた指が引き抜かれ、代わりに熱く猛った欲で秘所を貫かれた。
挿入の衝撃に、ジェネラルの首が沿って、苦しげに上下する喉仏が露になる。
オズワルドは反らされた急所に甘く歯を立てながら、静かに律動を開始した。
ジェネラルの身体を慮ってか、それとも焦らすのが目的なのか、もどかしいほどゆっくりとした律動は着実にジェネラルの理性を燃やしていく。
いっそ、何もかもを忘れるほど激しくすれば羞恥を感じなくてすむのに、オズワルドはいつも快楽と羞恥でジェネラルを溶かしてしまう。
閨の中まで紳士的な恋人が愛しくて、ジェネラルは力の入らない両腕を持ち上げて痩躯を抱き寄せた。

『…オ、ズ…ッ…ん………、ズ…ッ』

剥き出しの耳元に何度も嬌声を零されて、オズワルドにも限界が近づいてくる。
オズワルドは鍛えられた腰を掴み、何度も腰を打ちつけた。
最初は理性が焼き切れるほどゆっくりとした律動は、今は肌と肌がぶつかり合う音が響くほど激しいものになっていく。
起立したジェネラルの欲は吐精を思わせるほど淫液に濡れて、時折オズワルドの腹筋に擦られると脳が痺れるほどの悦楽が駆け抜ける。
互いの息は荒く、触れ合う肌は熱く、鼓動が近い。

『―――閣下…ッ』

切羽詰ったような、オズワルドの声が遠い。ジェネラルは涙で濡れた視線をオズワルドへと向けた。
いつもはグラスで隠されている切れ長の瞳は欲に濡れ、ジェネラルだけを見つめている。
僅かに目が細くなっているのは、オズワルドにも限界が近いからだろうか。
唇が僅かに開いて熱く荒い息が肌を滑り、汗が細い顎を伝ってジェネラルの胸へと落ちた。
くらり、と、意識が酒に飲まれたような酩酊に襲われる。
色気を惜しげもなく晒すオズワルドに、ジェネラルは確かに欲情し、見惚れてしまう。
ジェネラルは抑えようもなくなった恋情に翻弄され、身体の末端から内側まで震えが走る。
それはオズワルドを包み込む内壁にも及ぼされ、耳元でオズワルドが息を呑んだのが分かった。

『んッ……―――ッ!』

けれどそれを認識する前に、内側に熱い奔流を感じて、ジェネラル自身も熱を爆ぜさせた。
身体の外側と内側で吐精を感じながら、汗ばんだ肌を合わせて呼吸を落ち着ける時を稼ぐ。
息を弾ませながら、それでも互いを抱き寄せる腕は緩むことがなかった。
脳裏に思い浮かべるオズワルドは、ジェネラルの好きな笑みを浮かべて、何度もキスを降り注いだ。

「―――は、ぁ…ッ」

記憶を浚いながら、一人きりのベッドで身を慰めているジェネラルはその時のリップノイズまで思い出してしまい、心音を加速させる。
陰茎から零れる淫液には白いものが混じり、呼吸は熱に浮かされたように息苦しい。
呼気に絡まって嬌声が上がりそうになるのを耐えているものの、限界は近かった。
くちゅくちゅと卑猥な水音が荒い息に重なり、意識が白くぼやけていく。
下腹部に渦巻く熱が限界を迎えたがり、先端がぴくぴくと痙攣を繰り返す。
あと一度でも摩擦を加えれば爆ぜそうな熱に、ジェネラルは小さく唇を噛んだ。

「ただいま戻りました」
「――――ッ!!」

まるでその瞬間を狙ったかのように、玄関から耳慣れた声が響いた。
その声を認識したジェネラルは咄嗟に両手で陰茎の根元を押さえ込み、吐精を阻む。
達する直前で戒められた熱は、快楽を痛苦に変えてジェネラルを苛んだが、この状況で解放するわけにはいかない。
荒い息を幾度も吐いて、加速した心音にブレーキを掛けながら気配を伺えば、オズワルドがコートについた雪を払って廊下へと移動しているのがわかった。
リビングに向かう前に寝室のクローゼットにコートを仕舞っていくのは、オズワルドの習慣だった。
それを知っているジェネラルは自慰によって紅潮した頬を一層朱色に染めた。

「――――〜〜ッ」

ジェネラルは乱した軍服を手早く直すと、シーツを頭から被って狸寝入りを決め込んだ。
とてもではないが、この状態で何事もなかったように出迎えに行くことは出来ない。
ジェネラルの最も獣に近い部分は、こんな絶体絶命の状況ですら萎えることはせず、解放を強請っているのだ。
むしろ、このいつ露呈しても可笑しくはない状況に興奮している節すらあった。
そんな淫らがましい自分を、オズワルドに知られるのは耐えられない。
幸い、もう深夜と呼べる時間帯ではあるから、ジェネラルが先に寝ていたとしても不思議はない。
二人で暮らし始めてから、ジェネラルがオズワルドより先に休んだ夜はそう多くはないものの、皆無ではなかった。
未だ整わない呼吸を何とか鎮めながら、一指も動かさず寝台の上に小山を築くと、静かに寝室の扉が開いた。

「――――おや?」

寝室の扉を開けたオズワルドは、夜目の利く目でベッドの小山を見つけると、暫しの沈黙の後、小さく笑気を漏らした。
足音を殺して寝台に近寄ってくる気配に、ジェネラルの動悸は一層激しさを増す。
一歩距離を縮められるごとに羞恥が募り、このまま消え入ってしまいたくなるほど居たたまれない。
全身全霊で以ってオズワルドの一挙一動に気を配っているジェネラルに気づいているのかいないのか、オズワルドはシーツの山と化したジェネラルをあやすように優しく叩いた。

「閣下?お休みですか?」

語尾を上げているのは、ジェネラルが眠っていないことを感じ取ったが故だろう。
気配に聡いオズワルドは、自身に向けられる意識と室内に満ちるジェネラルの動揺を正確に捉えていた。
寝台に横たわり、ぴくりとも動かないジェネラルが間違いなく狸寝入りであると看破している一方で、それを指摘するのを避けたのはオズワルドなりの配慮だった。
それでもなお声を掛けたのは、出迎えの一言もないジェネラルを訝しんだからに他ならない。
無論、ジェネラルが狸寝入りまでして隠したいと思うことを無理に暴くほどの悪趣味さは持ち合わせていないが、その理由が身体の不調だった場合は見過ごす訳にはいかないのだ。

「………あ、ああ…」

暫く時計の秒針が奏でる音だけが寝室に響き、それでもジェネラルの声を待っていると、くぐもった声が小山から聞こえていた。
声は掠れて、語尾が揺れている。珍しいこともあるものだと思いながら、声に僅かな苦痛が混じっていることに気がついた。
致命傷には遠いものの、切羽詰ったような声に、オズワルドは小さく首を傾げた。
熱でも出したのだろうかと思いつつ、オズワルドの手がシーツから僅かに覗く金髪を梳く。
その時、金髪に隠れた耳を、オズワルドの指先が掠めた。

「―――ンッ」

オズワルドが指先に感じた熱を訝しがるよりも早く、押し殺した嬌声を耳が拾う。
それと同時にシーツの小山も顕著に震え、スプリングが控え目に啼いた音が響く。
ジェネラルが己の失態を呪うより早く、シーツが舞い上がり、外気の冷えた空気がジェネラルの肌を舐めた。
寒さに身を震わせる間すら挟まず、オズワルドがジェネラルへと覆いかぶさってくる。

「―――お、オズ…!」
「何をなさっているんですか、閣下?」

焦ったように名を呼ぶも、問いで切り返されて言葉が詰まる。
シーツで包まって下半身を露出し、挙句の果てには陰茎は誤魔化しようもなく反応しているのだ。
何をしていたかなど明白な上、言い逃れすら出来ない。
羞恥と狼狽で身の置き所がまるでないジェネラルを、完璧な笑みで黙らせると、はしたなく起立した熱に器用な指が絡んでくる。
皮手袋に包まれていたとはいえ、今まで外に居たオズワルドの掌は冷たく、ジェネラルは思わず身を竦ませた。

「―――――ん………ッ」

常はカードを操る手が繊細に動き、僅かな動きで最大の愉悦をジェネラルへと及ぼす。
鍛えてばかりの無骨な手とは違い、傷の少ない冷たい手は淫液を器用に陰茎に絡め、卑猥な水音を寝室へと響かせる。
素直に悦びを呈するジェネラルの欲を五指で以って摩擦し、熱の溜まる耳朶に柔らかく歯列を埋めてきた。
下腹部から上ってくる水音と、間近で聞こえる耳朶を弄る音に翻弄され、ジェネラルは背筋をのたうたせる。

「ぅ…オ、ズ…ッ」

ジェネラルは揺れる声を両手で押さえ、涙で潤んだ視線をオズワルドへと向けた。
渦巻く熱は限界が近く、解放を強請るように恋人の名を呼べば、視線を受けたオズワルドが思わず見惚れるような艶のある笑みを浮かべて見せる。
羞恥で溢れる胸が、条件反射のように高く跳ねる。赤みを増した眦にオズワルドは笑みを深めると、捕らえた陰茎から徐に手を離した。
濡れて起立した男根は、オズワルドの細い指から、淫液の細い糸で繋がっている。
オズワルドは、差し込む月光で光を弾く指先をジェネラルの眼前へと差し出した。

「……閣下、これは何です?」
「――――ッ」

粘ついた淫液は重力に引かれてオズワルドの指を伝い、ジェネラルの腹へと落ちて軍服へと染みていく。
ジェネラルは鋭い眼光でオズワルドを睨みつけるが、続く言葉はなく、そのままシーツへと捨てる。
顔をそらしたことで伸びた首筋は赤く染まっており、酷くオズワルドを魅了した。
唇を噛んで羞恥に耐えるジェネラルの首筋に吸い付き、硬い皮膚に朱印を刻み付ける。
熱い唇と舌を肌で感じ、リップノイズを耳で拾うと組み敷いた身体が震えた。

「―――…オズ…ッ」

泣きそうな声で名を呼ばれ、オズワルドは応える代わりに唇に吸い付いた。
幾度か角度を変えて唇を食み、薄く開いたところで舌を差し込み、濃い口付けを与える一方で、濡れた手を下肢へと伸ばした。
少しばかり冷たくなった指先で竿を撫でると、ジェネラルが息を呑んだ気配が伝わってくる。

「――ッ…や…め…ッ」

キスで阻まれながらも絶え絶えに制止を呼びかける姿は、背筋が震えるほどの色気があった。
オズワルドは煽られるままにキスを深め、扱く手に柔らかく力を込めた。
途端、ジェネラルの脚が引きつるようにピンと伸び、腕が背へと回る。
まるで溺れる者が縋るように幾度も引っかき、スーツに皺を刻んだ。
背中に確かな痛みを感じるものの、気分が高揚して気にもならない。

「んッ…ふ…ぅ…ッ!」

ぐぐもった嬌声が次々とオズワルドの口腔へと注ぎ込まれていく。
内側から響いてくる艶めいた声をもっと引き出したくて、オズワルドは熱の先端を指腹で抉る。
腕の中で溶けるジェネラルを追い詰め、掌全体で性器を慰撫すると、ジェネラルの爪が鋭利に煌き
スーツ越しの背に爪痕を残した。
オズワルドからも吐息をジェネラルの口腔へと注ぎ込み、留めのように強く扱くと、スプリングが大きく軋んだ。

「―――ッふ…ハ…は、ぁ…」

漸く唇が離れ、ジェネラルは吐精の余韻が色濃い呼気を吐く。
達した余韻に浸り、朦朧としているジェネラルの目元に労わるようなキスを乗せながら、未だトロトロと精を吐き出し続ける熱を扱き、最後の一滴までを出させるように不埒な指が蠢く。
熱を吐き出したばかりだというのに、白濁を纏った掌の感触が鋭利な刺激となって腰を苛み、ジェネラルは掠れた吐息を天井に向かって吐き出した。

「お、オズ…ッ」

吐息に、狼狽の声を混ぜれば、オズワルドが至近距離で視線を合わせてくる。
欲に濡れた切れ長の瞳がジェネラルを覗き込む。まるで夜を溶かしたような色だ。
ジェネラルの胸を、酸素不足とは違った息苦しさが襲う。
赤く染まる体躯に舌と手を這わせながら、オズワルドは綺麗に笑みを浮かべて見せた。
ジェネラルが好む、蕩けそうな艶のある笑み。

「私の閣下は、本当に可愛いですね」
「―――〜〜〜ッ!」

その囁きに、ジェネラルは首筋までを朱色に染めて息を呑んだ。
うろうろと視線を彷徨わせ、言葉を捜すものの、吐息ばかりが量産されて声は出ない。
ジェネラルが口を開閉していると、白濁に濡れた掌が卑猥な水音を奏でて熱を弄ぶ。
咄嗟に静止を求めようとするも、まるで封じるように唇を塞がれ、万策尽きてしまう。
結局、オズワルドの手で、声で昂められ、空が白ばむまで熱に溶かされたのだった。






「閣下。朝食は用意しておきましたので、起きられるようでしたら召し上がってくださいね」

ネクタイを結びながらオズワルドが、口を開く。
オズワルドの視線の先では、昨夜の帰宅時と同じようにシーツの包まるジェネラルがいた。
昨夜、久方ぶりの情交でたっぷりと愛されたジェネラルは未だ起き上がれず、オズワルドが起きてからずっと小山を築いている。
多分、体力を回復できていないという以上に、昨夜遅くに帰ってきて、更に今朝も早くに出かけなければならないオズワルドを付き合わせてしまったという自責の念に駆られているのだろう。
変わらない不器用さが愛しく、なにより可愛らしい。
オズワルドは小さく笑んで、小山を優しく撫ぜた。

「それでは、行ってきます」

そう告げると、腕まくりをしていたシャツを伸ばし袖の鋲を留めてジャケットを素早く羽織り、コートと帽子を手に取る。
少し朝寝坊をしてしまったので、これ以上ゆっくりは出来ない。
手袋を嵌めてマフラーを首に巻きながら扉を開けると、背中に視線を感じて動きを止めた。
オズワルドが首を傾げながら振り返れば、ジェネラルが上体を起こしていた。
乱された軍服を申し訳程度に羽織っているものの、傷だらけの肌には朱印が幾つも散らされている。
自分でやったことながら、朱印の多さに微苦笑が漏れた。
その笑みを見たジェネラルは羞恥を誤魔化すように目に力を込めて口を開いた。

「―――出掛けるのか」
「ええ。ピークは過ぎましたが、まだ残ってますので」
「そうか。……気をつけて」

実際は、まだずっと忙しいのだろう。
それなのに、昨夜は睡眠時間を削らせてまで付き合わせてしまったのだと思えば、一層居たたまれなかった。
ジェネラルはこみ上げてくる自己嫌悪と羞恥をなんとか殺すと、差し障りのない言葉を紡ぐ。

「はい、閣下もしっかりお休みくださいね」
「………?」

さらり、とオズワルドから返された言葉に、ジェネラルは小さく疑問符を飛ばした。
ジェネラルとて今日も仕事ではあるが、昼前に出掛けて、夕方頃には帰宅予定だった。
だから、オズワルドに言われずともゆっくりと休めるのだが、それを合えて口にする意図が分からない。
無論、気遣いには変わりないので、ジェネラルは腑に落ちないながらも首を縦に振って了解を示した。

「分かった。言葉に甘えるとしよう」

そう口にすると、オズワルドがにこ、と顔に笑みを敷いた。
その笑みには、ポーカーフェイスの気配以上に、もっと性質の悪いものが見え隠れしており、ジェネラルの背を危険信号が駆け抜ける。
ジェネラルに走ったある種の緊張に気づいているのかいないのか、オズワルドは笑みを深めながら手にした帽子で笑みを刻んだ口元を隠した。

「――――ああ、それともう一つ」

笑みを湛える口元が隠れると、赤いグラスに阻まれた瞳が強調される。
声も口も笑みを含んでいるが、その瞳に笑みはなく、あるのはただ強い光だけだった。
その光に射抜かれ、ジェネラルの肩が僅かに跳ねた。



「今夜は早く帰ってきますので――――お覚悟を」


オズワルドはそう言い残すと、ひらり、と手を振り、表面上は裏のない笑顔で寝室を後にした。
残されたジェネラルは、数度その言葉を反芻した後、再びシーツの海へと沈んでいく。
羞恥を感じるほどに頬は焼け付くように熱くなり、鼓動は止めようもなく加速する。

「―――君は明日も仕事だろう…!」

羞恥で揺れる正論は、遠くで閉まる玄関の扉の音に掻き消された。
ジェネラルは両手で頭を抱え、やんちゃな紳士に聞こえもしない非難の声を飛ばしたのだった。




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