きんいろのひかり
!注意
オズワルド×ジェネラル小話。
致してる描写はありませんが軽く朝ちゅん。
ジェネラルが乙女でオズさんも乙女かもしれない。
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熱を孕む身体を吐息一つで押さえ込むと、ジェネラルはゆっくりと身を起こした。
余韻を残す身体には巧く力が入らないが、背後の気配に気を遣い、出来うる限り音を立てないように注意を払う。
身を捩ればシーツが素肌を撫ぜて、ジェネラルは思わず息を詰めた。
込み上げてきそうになる熱に翻弄されないよう眦に力を込めるが、留めのように後孔からどろり、と白濁が逆流する。
粘性の高い液体が身を苛み、羞恥で耳が焦げる音を聞いた。
「―――閣下…?」
びくり、と。
ジェネラルの剥き出しの肩が闇夜の中で小さく跳ねた。
光に弱い分、夜目が利くオズワルドはそれが見えたのか、口元が弧を描いた気配がした。
振り向くことも、腕の中に戻ることも選べずに固まっていると、カサ付いた手がジェネラルの肩に触れる。
潤いは少ないが、熱いその手に、先ほどよりも露骨にジェネラルの肩が跳ねた。
「…どちらへ?」
「…………」
吐息のように微かな声で問われて、ジェネラルは口を噤んだ。
声は穏やかだが、虚言を許さない視線が背に突き刺さる。
一人のベッドで起きるのは嫌だ、と、再三言われている身としては、塒へ戻る気だったとは言い難い。
背を向けたまま、緩々と視線を後方へと向けると、愉しそうなオズワルドの顔と目が合った。
けれど、その目に笑気はなく、ジェネラルは困ったように眦を下げた。
それを受けて、オズワルドもまた困ったように微笑した。
「……共寝が苦手なのは重々承知しておりますが…何も、こんな夜中に戻ることはないでしょう?」
「……すまない……」
謝罪を口にしながらも、ジェネラルは視線を下へと捨てた。
そのくせ、オズワルドの反応が気になるように、神経をオズワルドに向けてくる。
完璧なのに、こういったことに関しては面白いほど分かりやすい恋人にオズワルドは目を和ませた。
常は、パーフェクト・ソルジャーとも、やんちゃな紳士とも呼ばれるジェネラルが、こんなにも初々しく可愛らしいと誰が知るだろう。
そう思いながらも誰にも教える気のないオズワルドは、朱色に染まる首筋を一層染めようと意地の悪い囁きを向けた。
「褥に関して、パーフェクトであられても複雑ですけれど」
目を細め、肩に置いた手で背筋を撫でれば、手に感じる体温が急激に上昇する。
オズワルドの視線の先で、ジェネラルがベッドに崩れ落ちた。
首筋、どころか、全身が赤い。
赤くなった肌に散々付けた朱印が馴染んで、オズワルドの目を愉しませた。
オズワルドは小さく笑んで、崩れ落ちたジェネラルを腕の中に回収する。
居た堪れないように身を捩るのを、口付け一つで押さえると、すっぽりと抱え込んで金髪に顎を埋めた。
ジェネラルの方が逞しく、男性らしい身体付きをしているが、こうしてしまえば小さく感じられてしまうから不思議だった。
腕に捕らえたぬくもりにオズワルドが和んでいると、ジェネラルは身を小さくしながらウロウロと視線を彷徨わせた。
「………怒っているか……?」
散々視線を四方に飛ばした後に、躊躇いがちにそう問うてくる。
それが幼子のように見えてしまったオズワルドには、笑みしかでない。
此方をそっと見上げる額に一つキスを落とすと、一向に慣れないジェネラルがその状態で固まった。
その反応が驚愕からではなく羞恥からだと、頬に集まった熱が教えてくれる。
オズワルドは怒っているのか、という問いに対して、ジェネラルの額に自らのそれを合わせながら答えた。
「いいえ?私の閣下は大変に可愛らしい方だと、思っております。」
カァッと、これ以上染まる余地のない頬がまた赤くなる。
それを眺めながら、オズワルドは殊更深く笑んだ。
もごもごと言葉が出てくる気配のない唇を優しく塞げば、金色の睫が震えて瞼が落ちる。
闇夜の中でも煌いて見えるそれに、オズワルドは殊更目を細めた。
「私の隣は嫌ですか?」
「………違う」
「気配が、嫌ですか?」
「………………違う」
「では…」
続けようとするオズワルドの声を、無骨な手が唇を塞いで止める。
珍しい、と思う間もなく、朱色の顔を、何処か悲しげに歪めたジェネラルが口を開く。
「―――朝、隣に私がいると……目が痛むだろう……?」
只でさえ夜に慣れた目が朝日に焼かれるというのに、それを助長するように光を反射する金髪が横にあっては目の毒でしかない。
だから、朝が来る前に戻ろうとしたのだと、視線を外しながら続けたジェネラルに、オズワルドは目を瞬かせた。
確かに、オズワルドの目は光に弱くはあるが、ジェネラルがそこまで気を遣うほどのことではない。
余り思い出したくはないが、暗殺者として動いていた時分には夜間での活動が主になっていたせいで
陽光を嫌っていた節もあるがそれも本当に昔の話だ。
オズワルドは僅かに首を傾げながら、憂い顔で目を伏せたジェネラルを眺めた。
金色の睫が青い目を隠してしまうのが、少し勿体なく思える。
ジェネラルを形成するものでオズワルドが好まないものなど一つとしてないが、その中でも湖のように深みのある青眼は別格だった。
「……閣下?」
語尾を持ち上げるように呼んで、恋して止まない青眼を誘うと、そろそろと視線が持ち上がってくる。
朱色に染まる頬といい、何処か不安そうな青い瞳といい、全てがオズワルドを引き付ける。
堪らない愛しさを感じてオズワルドは目を細めると、次いで、全ての疑問が解消された。
確かに、オズワルドは毎朝ジェネラルを見るたびに光に耐え切れなくなったように目を細めていた。
けれど、それはジェネラルが指摘したことが原因ではない。
「――――……ふふ」
「…オズワルド?」
オズワルドはジェネラルを一層抱き寄せて上機嫌に笑気を漏らした。
種が分かれば何ということはない。
オズワルドにとって、酷く都合の良い答え。
ジェネラルが隣にいるという幸福感から細めた目を、ジェネラルは光によるものだと勘違いしているのだ。
それが余りにも的外れすぎて、そしてどうしようもなく可愛らしくてオズワルドは喉を揺らした。
笑われている理由が分からず、困惑したような視線を向けてくるジェネラルの額にキスをした。
唇に触れる体温が高くて心地良くて、オズワルドの笑みを一層誘った。
光よりも、あなた自身が眩しいと伝えたら、腕の中の恋人はどんな顔をしてくれるだろう。