M25 ただの物置。

危ないカンパニー



!注意

ジェネラル×オズワルドの18禁話。
オズさんの職場でそういうことをしたり、ジェネ様がちょいSだったり、 ウィンドさんが腐ィンドさんだったり、ご都合主義だったり、 溢れるマダオ臭がしたりします。お気を付け下さい。


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一枚二枚とメール便が飛び、細かく四角に区切られた棚の中へと白い封筒が消えていく。
手馴れた仕草で空を切り、仕分けを進めるのはルガール運送の古参、オズワルドだった。
きっちりと着込んだスーツを乱しもせず、淡々と宛先別に分けていく指先には迷いがない。
しかし、オズワルドの処理能力を以てしても、本日のメール便は大量の一言で、 時計を確認するまでもなく、深夜に近い時間であると自覚していた。
窓にはべったりとした夜の闇が張り付いていて、疲労の溜まる視線を投げかけ、オズワルドは小さく口腔で息を零した。

「この調子ではもう暫く掛かりそうですね」

独り言を漏らすといったん手を止め、肩を軽く鳴らしてみる。
若い頃は感じなかったどっとした疲労に肉体を蝕まれ、片眉を跳ね上げさせた。
その時、まるでその反応を見咎めたかのようにオズワルドの耳にカタリ、と小さな物音が滑り込んだ。

「――――…?」

既に自分を残して無人であるはずの会社で聞こえた物音に、サングラス越しの瞳を細める。
水を打ったかのような静けさがフロアに満ちて、オズワルドは神経を尖らせた。

(忘れ物でも取りに来たんでしょうか…)

訝しげに思いながら、視線を巡らせると扉の向こうに気配を感じた。
けれど、その気配を確認した途端、オズワルドの口元には小さな笑みが浮かぶ。
苦笑にも似た笑気に続けて、間違えようもないほどよく知った相手を気安い口調で呼んだ。

「こんな時間にいかが致しました、閣下」

呼び声に誘われ、作業机の正面に位置する扉が開く。
開いた扉の向こうには若草色の軍服に身を包んだジェネラルが佇んでいた。
慣れたような口調であるのは、確かにオズワルドが口にしたように『こんな時間』ではあるが、 残業に没頭してしまったオズワルドを、迎えに来てくれることは珍しいことでもなかった。
ジェネラルにも仕事があるので、そう多くもなかったが、さりとて驚くほどのことでもなかった。
オズワルドは突然の来訪者へ向けて口元の笑みを深くしながら、身体の向きを変えジェネラルを出迎える。
ワーカホリックの気があるオズワルドとて、ジェネラルに迎えに来てもらって嬉しくないはずがない。
笑みは自然と緩やかなものになり、常とは一線を画する穏やかなものになった。

「………」

しかし、ジェネラルは挨拶もせずに大股でオズワルドへの距離を詰めてくる。
口を硬く閉ざし、死線を幾度もかいくぐったプロフェッショナルの瞳がオズワルドを射抜く。

「………閣下…?」

常のジェネラルと比べて、違和感を覚えたオズワルドは確かめるようにその名を呼んでみる。
だが、その呼び声にすら応えようとしないジェネラルに嫌な気配を感じて、ジリ、と革靴の裏で床を擦った。
無意識のうちに半歩後ずさってしまったが、ジェネラルは後退を見逃さず、また許さなかった。
―――カァンと耳を突き抜ける音と共に目の前のジェネラルが消えて、瞬きするより早く目の前に現れる。

「………ッ!?」

零距離に現れた姿に驚いて身を引こうとするも、ジェネラルの反応速度の方が数段速い。
気がついたときには山積みになっている封筒が散らばって、業務連絡が書かれた書類が宙を舞っていた。
オズワルドの背中は広い作業台に叩きつけられ、強かに痛んだ。
一瞬の出来事に脳内処理が追いつかず、オズワルドは思わず慣れない大声を上げる。

「――――っ、閣下!」

しかし、その声に怯みもせずにジェネラルは獲物の肩を押さえ、行動と相反するように優しく首筋に口付けた。
皮膚越しながら、急所である頚動脈の上へキスを落とされて、ぐ、と呼吸が詰まる。
ジェネラルの唇に高い脈を伝え、反射的に手首を掴んでジェネラルを押しとどめようと試みた。
けれど、悲しい哉、どれほど力を込めても一線を退いた老体と、現役で軍務をこなす尖兵の間には埋めがたい差があった。
ビクともしないジェネラルに首筋を吸われて、痩せた肌に朱色が散る。
ジェネラルの唇に逆らえず、金色の口髭に薄い皮膚を撫でられては抵抗の力も殺げてしまう。

「――…ああ、すまない。ここでは隠しきれないな」
「そう、……思う、なら…ッ」

飄々とした態度に反論の言葉を掻き集めるが、当のジェネラルから謝罪の気配など欠片も見えない。
わざと隠しきれない場所にキスをしたのだと理解する。
やんちゃな尖兵のやり口に、オズワルドは眉を顰めながら奥歯を噛んだ。
同時にキスを受けた場所から浸食するような熱を感じてしまう己を叱咤する。
ジェネラルは声ごと噛み殺そうとするオズワルドを咎めるように甘く歯を立てた。
綺麗にそろった歯列が老いた肌に沈み、食いしばったはずの口から小さく声が零れる。

「………ぁ…ッ、…う」

低いオズワルドの声で揺れる音を出そうとすると、どうしても掠れてしまう。
睨みつけようとしても、眦が朱に染まっていては何の迫力も無い。
むしろ、嗜虐欲を掻き立てたようで、肩を押さえつけていた指が身体のラインを確かめるように下り始めた。
スーツ越しだと言うのに指が辿った場所から、疼くような温い熱が生まれ出す。

「いぃ、かげん……にっ!」

幾ら情人に触れられたとはいえ、あまりに容易く火が点く身体を否定するように、声を荒げた。
大体どれ程、気分が盛り上がろうとも此処はオズワルドの職場なのだ。
神聖な職場の、しかも己の作業場で、冗談ではない。
挙句の果てに、硬い机の上など絶対に腰を痛めるではないか。
辺りに散らばったままの書類やら手紙やらは酷く居た堪れない。
そう考えると、オズワルドは力負けしていると知りながら真剣な抵抗に切り替えた。
長い足を閃かせ、ジェネラルの側面を狙い蹴りを繰り出すが、無理な体勢からの攻撃はまるで力が入らない。
逆にいとも容易く、腿を捕まれてジェネラルの腕力で、足を大きく開かれた。
勢いのいい反撃に股関節が嫌な音を立てて、こめかみが微かに引きつる。
蹴りを捕らえた腕は、あっさりと足を離して、代わりに内股を撫で上げていく。

「……ん…ッ」

スラックスに皴を刻んで、指がたどり着く先は貞淑なベルトだ。
カチリと無機質な金属音が鳴って、オズワルドの下衣が乱される。
ベルトを解くのも、スラックスを足から抜くのも、ジェネラルの器用な指に掛かれば造作も無かった。
基本的にジェネラルはどこまでもパーフェクトな恋人だが、モラルだけは如何にも変則的らしい。

「やめ…、な……ッ、さ、――ッ」

咎める言葉すら途切れがちで、この後のことを想像できてしまうオズワルドの体温は無意識に上がっていく。
鼓動が加速し、肺が忙しなく熱い息を吐いて、剥き出しの耳が朱色に染まった。
これがジェネラルでなければ、カーネフェルの真髄をお見せして終わりなのだが、 生憎、ジェネラル以外にこんな奔放に振舞われたことは無い。
力でも、そしてベッドの中でもオズワルドは簡単にジェネラルに翻弄されてしまう。
カードではオズワルドの無敗だが、こちら側に関しての戦歴は目も当てられなかった。
下着ごと引き摺り下ろされたスラックスは細い足首で止まり、皺だらけになっている。
オズワルドが堪らず熱い息を吐き出すと、ジェネラルが気遣うようにネクタイを緩めてくれた。
正直なところ、そんなところに気を使うくらいなら今すぐにやめて欲しいのだが、 それは無理な相談とばかりに布擦れの音が鼓膜を弄ってくる。

「閣…っ、………く、ぅ」

オズワルドのスーツは普段のストイックさを失い、卑猥なばかりの姿が明るい照明の下に晒されていた。
内側から押し上げてくる羞恥に熱に視界が焼かれて霞がかり、ジェネラルの金髪が眩しい。
ジェネラルの無骨な指先が内股を丁寧に撫でてきて、肌から伝わる体温に痺れが生まれだす。
いつの間にかジェネラルは分厚い軍用グローブを外していたが、それに気付けるほどの余裕は無かった。
僅かでも意識を抵抗へシフトさせようとすると浅く内股に爪を立ててきて、もどかしい愛撫に背が撓る。
長い足の先が宙を掻き、革靴が硬いリノリウムの床を掠めた。
浅ましいことに柔らかく肌を刺激されるだけで身体の中心に熱が集まった。
元々性欲の低い性質だったオズワルドにここまで快楽を教えたのは目の前の男なのだ。
支配者然としたジェネラルに逆らえるはずも無く、顎を引くとジェネラルと額が軽くぶつかった。
かすかに解れた金髪が額に掛かり、色つきのサングラス越しにも金色が鮮明に自己主張している。
輝く金色はまるで光のようなのに、今のジェネラルからは確かな夜の――褥の中で感じる深い香りがする。

「貴方のすべてを手に入れたい、……と言ったら呆れるかね?」
「私は…、すべて……ッ、閣下の、もの、だ…と…ッ!」

そっと鼻先をすり合わせながら告げてくる言葉に真摯に答えようとしても、 ジェネラルの指先に熱の中心を包み込まれて、言葉は四散してしまう。
緩やかに擦られると言葉どころか、意識までもが犯されてくる。
根元から強弱をつけて撫で上げられると、熱源は年甲斐も無く正直に、 直に触れているジェネラルには隠しようも無い欲情を伝えた。
身体を火照らせ、ジェネラルの指先に、吐息に、声に乱される。
それに逆らう術をオズワルドは知らず、無意識のうちに腰が跳ねた。
鼻に掛かる声は甘ったるいと言うより殆ど掠れ声で、聞き苦しいことこの上ない。
それでも、ジェネラルは甘く頬に口付けをくれる。
淫靡で悪戯な指先とは一線を画するように甘い口付けは、オズワルドの理性を崩していく。
息継ぎのために開いた唇から零れたのは、喘ぎ声ではなくジェネラルの名だった。

「オズワルド……、口付けを」

ジェネラルも熱に掠れた低音を漏らしながら、乾いた唇同士をぶつける。
幾度か啄ばんで、口唇を開いて熱い舌を誘い込む。
このままではいけないと思いながらもオズワルドはジェネラルのキスを拒めない。
キスを許してしまえば後に退けないと理解していたが、熱が理性を裏切り続ける。

「……は、ぁ…ッ」

先端を捏ねるように滲む淫液を塗りつけられて、唇の合わせ目から息を漏らした。
オズワルドの弱い場所など、ジェネラルは本人よりよく知っている。
括れに指を回して、ねっとりと絡みつくように摩擦されれば、眦に熱と雫が溜まった。
お互いの粘液を口腔で交換し合い、味覚すらジェネラルに侵される。
細い銀糸を引きながら離れた唇は、器用に眦に溜めた塩水を舐め上げた。
その優しい仕草で誤魔化すように、ジェネラルの指がとうとう背後に回る。
どうしても抵抗できない己を呪いながら、オズワルドは目尻を僅かに吊り上げた。
途端、ジェネラルの瞳が一瞬戸惑うように揺らめいたが、 その程度で止められるとはオズワルドも、ジェネラルも思っていない。

「――――ッ」

ツ、と指先に後ろを撫で上げられて、オズワルドの喉が反る。
あらわになった首筋から続く鎖骨へジェネラルは誘われるように噛み付いた。
細い身体を支える骨に喰らいつく姿はまるで獣のようだったが、 今のオズワルドも熱に浮かされた獣に他ならない。
ジェネラルが指を折り、ゆっくりと後ろに第一関節まで差し込むと、 痛み以上に先を強請ってしまいそうなる自分を自覚する。
オズワルドの垂らした淫液を襞の一枚一枚に塗り付けられ、顔から火が出そうだった。

「あ――…っ、ふ…、閣下…ッ」

後ろを嬲られていると言うのに、オズワルドの熱は前に集中する。
ジェネラルの軍服を汚してしまいそうなほど勃ちあがった熱を恥じるように腰を引けば、 指に窄まりを押し付けてしまい、ジェネラルの指先が微かに震えた。
結果的に浅ましく先を乞うたようで、オズワルドが慌てて否定の言葉を紡ぎかけるが、 それより早くにジェネラルの太い指が、肉を押し分けて付け根まで潜り込んできた。
熱い内壁を節くれだった指に摩擦されて、慣れるより前に中で指が旋回する。
ぐち、と卑猥な音をたてて、内壁に歪みを齎す。
強張る肉体は動く指さえきつく締め付けて、リアルにジェネラルの指を感じた。
オズワルドはジェネラルの肩に指をかけ、軍服の固い生地を握りこむ。

「も、―――ぅ…やめ……っ…くぅ…」

自分でも酷い詭弁だとは理解していた。
満足に触れられてもいない前は萎える気配など微塵も見せずに、濃密な淫液を零している。
足の付け根まで伝う熱はオズワルドの欲を言葉以上に雄弁に語っていた。
身体の奥で指が閃くたびに、陰茎の先から涎を垂らすのだから何の説得力も無い。

「こんな貴方を放り出せると思うのか?」

茶化すような言葉ではあったが、ジェネラルも高揚しているのだということが口ぶりから知れた。
その証拠に二本目の指を差し込み、オズワルドの身体を更に暴いていった。
オズワルドの喉からは引っ切り無しにか細い悲鳴が漏れる。
二本の指で交互に性器裏を指腹でくじられて、内壁と指の間で空気と淫液が交じり合う音が生まれた。
体内から鼓膜を震わせる淫猥な音色はオズワルドの意識を貪り、快楽に染め上げていく。
自ら息を吐き出して、奥へ奥へと指を導こうとするように力を抜いて勤める。

「ん――ッ、ぅ、は…っ」

快楽に翻弄される身を捩るとカサリ、と乾いた紙の音が耳へ滑り込む。
そこでオズワルドは、ここは職場だと、なけなしの理性を掻き集めて唇を噛んだ。
声を漏らさぬように唇の裏に歯を立てれば、柔らかい肉が噛み切れて口腔に血の味が広がる。
ジェネラルの軍服を掴む指先も掌が白くなるほど力が篭っていた。
全身で恥辱に耐えるオズワルドの姿に、ジェネラルは密やかに息を呑んだ。
健気に耐えるオズワルドへ堪らない熱情を覚えて、摺り寄せるようにして唇を合わせた。

「ぅ……ん、ぐ……ッ」

無理やり舌に唇を抉じ開けて、血の味を確かめるように舌を巡らせる。
破れた皮膚に尖らせた舌先を押し付け、丹念に舐め上げればオズワルドの眦から熱い雫が伝う。

「オズ……」

情感たっぷりに唇を舐めて、後ろを暴いていた指を、媚肉を振りほどきながら引く。
ピンと張り詰めて筋が伸びている片足をスラックスから抜くのはいとも容易かった。
逃げそうになるオズワルドの腰を捕まえて、片足を肩に抱えると柔軟な肉体でも苦しい負荷が掛かる。
しかし、オズワルドがその痛みを自覚する前にそれ以上の衝撃が下肢に齎された。
熱い肉塊でオズワルドの後孔を拓いて、細い身体を深々と貫いたのだ。

「は―――――…ッ」

挙げかけた嬌声は全てジェネラルに飲み込まれる。
ズクリ、と体内で脈打つ熱を痛いほどに締め付け、老いた肢体が軋む。
散々弄られ、熟れた秘所を隙間無く埋め尽くされてオズワルドの前がはち切れんばかりに膨れ上がる。
結合部からは燃えるような熱が生まれ、身体だけでなく胸の内までもジェネラルに満たされていく。
朦朧とする意識は快楽に押し流されて、ヒクヒクと内壁がざわめきジェネラルの熱を確かめた。
灼熱の楔で貫かれ、重ねた口付けは血の味がする。
職場と云うこともあり、倒錯的な恍惚にオズワルドは普段以上に快楽に弱くなっていた。
当然、身体を重ねているジェネラルに齎される興奮も想像を絶するものとなっており、 オズワルドが息を整えられていない内から、欲に背中を押されて腰を揺らしだす。

「ん、んん…ぅッ」

内壁を蠢動させるような小刻みな振動から、徐々にストロークが長くなり、 切っ先から根元まで全てをオズワルドの中に擦り付けるようにして身体を揺さぶった。
身体の奥底から濡れた摩擦音が響き、オズワルドは羞恥と快楽に耐え切れず、 唇を震わせると、せめてもの抵抗にとジェネラルの薄い唇に歯を立てた。
その瞬間に奥を強く突かれて、歯の根が合わなくなり、強くジェネラルの唇に噛み付いてしまう。

「……ッ」

口腔に己のものとは違う新しい血が流れ込む。
噛み切ってしまったのだ、と自覚するとオズワルドは渾身の力を込めてジェネラルの肩を押しやった。
ジェネラルの血が微かにオズワルドのものと口腔で混じり、心臓が高く脈を打った。
お互いにどこまでも交じり合ってしまいそうで、オズワルドは確かな恐怖を覚える。
深く交じり合いすぎて、境目を見失ってしまいそうで、脳がじりじりと焦げ付いた。
力に任せてジェネラルを引き剥がすと、己が感じた底無しの欲を隠すように顔を反らす。
それでも視界の端に映ったジェネラルの唇には緋色が散っていて、オズワルドは無意識に息を呑んだ。

「…………、」

引き剥がされたことにより、ジェネラルは軽く目を見開いていたが、しばしオズワルドをじっと見つめると、 次の瞬間には己の唇を舌で拭い、酷くゆっくりと口角を吊り上げて笑った。
煌々と明るい蛍光灯を背に背負い、凶悪に微笑むジェネラルに、オズワルドの腹筋に力が篭った。
意図せず、ジェネラルを食い千切らんばかりに締めつけてしまい、自らを更に追い詰める。
恐ろしいほど穏やかな微笑なのに、身体の奥から血が引いていくのに、 熱に蕩けたオズワルドの双眸は確かにジェネラルに見惚れていたのだ。

「私の味がするかね?」
「………ッ、……な…っ」

ジェネラルの揶揄により、惚けていた意識が僅かに晴れる。
しかし、再びジェネラルが腰を大きく跳ねさせて動き出したことにより、答えを言葉には出来なかった。
血に酔ったのか、穿ってくる腰は重く深い場所まで犯しつくしていく。
作業机が激しい律動に負けて微かな音を立て、オズワルドの背中に軋みを伝える。
再び口付けようとしてきたジェネラルから逃れるように頬を冷たい机に押し付けた。
拒んだのは理性所以ではなく、再びお互いの唇が合わされば、 もう理性も外聞も役に立たず、ただジェネラルだけを求めてしまいそうだったからだ。
荒い息を吐き出し、胸板を上下させながらも口付けを避けるオズワルドに、 ジェネラルは微かな溜息を吐き出して、身体から陥落させることを選んだ。

「は、…ぁ、……あ――ッ」

ずぐずぐと溶け出しそうな肉体を言いように貫かれ、枯れ果てた喉からは頼りない嬌声しか絞りだせない。
幾度かジェネラルの名を呼びそうになったが、その都度、唇を噛んだ。
新しい鮮血を舌に感じるたびに咎めるように貫かれたが、溶け合った結合部は狂気とも言える愉悦を得るだけだった。
もしくは、そうした快楽で、脳裏まで焼いてしまおうとしているのかも知れなかった。

「く―――ッ、……ぁ、……ああッ」

押さえきれない声は室内に大きく響き、重い一打に腰をのたうたせる。
その時、丈夫な作りをしているはずの机がガタッ、と大きな音を立てた。
傍にいたオズワルドには案外大きな音に聞こえて、神経が震えたがそれ以上に身が強張る音が続いた。

カツン…、と確かに足音が聞こえてきたのだった。

「――…!? ……か、閣下…ッ、ジェネラル…!」

縁を赤く染めた瞳を大きく見開いて、若草色の軍服を引き寄せる。
小声で訴えるような声を出すオズワルドにジェネラルは一瞬動きを止めるが、それだけだった。
ジェネラルは聞こえた靴音よりも、珍しく呼ばれた名に興味を惹かれて、そっとオズワルドに顔を寄せた。

「怖いか…?」
「足音が…、……ん…ッ」

確かめるように問われると同時に中を抉られて、鼻から息が抜けていく。
靴音はゆっくりだが確実に近づいてきている。
カツンカツンと遠くから、徐々に反響の間隔を短くして。
廊下や玄関ホールといった共有スペース以外で明かりがついている作業部屋は此処だけなのだ。
そして、セキュリティの掛かっている社内に入り込むことが出来るのは、 目の前のような例外を除けば、ルガール運送の人間に限られる。
オズワルドにとっては昼間も顔を合わせたばかりの―――同僚だった。
言い訳できない姿で言い訳できないことをしているこんな姿を見られるわけにはいかない。
けれど、ジェネラルはまるで気にした風でもなく、前に手を回してくる。

「…ッ、………や、め…ッ!」

酷使された老体に鞭を打ち、首を振って制止を求めるが、ジェネラルはオズワルドの熱を握りこんでそのまま扱き始めた。
直接的な刺激に前後から襲われ、オズワルドの喉がヒュ、と小さな音を立てる。
息ごと嬌声を呑むが、近づいてくる靴音が気になって気が気ではない。
誰なのかは分からないが、鍵も閉めてない扉は簡単に開く。
扉からまっすぐ正面に位置する作業机はノブを僅かに捻るだけで全てが白日の下に晒されてしまう。

「ッ、……ぐ、…ぅ…ッ、んっ」

オズワルドの意識が扉に逸れていることが面白くないのか、ジェネラルの動きは一層激しくなる。
さすがにこんな姿を見られるのは死んでも嫌だと軍服に爪を立てたが、 分厚い生地に阻まれて何の効果も得られなかった。
抑えきれない嬌声を喘息に変えるだけでも一苦労だ、いつ高い声を上げてもおかしくはない。
下からの重い突き上げに逆らいきれず、オズワルドは苦肉の策とばかりに、 ジェネラルの背中へ腕を回し、力の限り抱き寄せて耳朶を吐息で擽った。

「ん…ぅ…き、す…して…っくださ…っ」
「………先ほどは嫌がっていたろう?」
「ぁ、れ…はっ…ぅう…っ」
「貴方が嫌がることをしたくはないな」

こみ上げてくる羞恥心を抑えながら告げた精一杯の懇願も一蹴されて、 オズワルドは湿った息を幾度もジェネラルの外耳に吹きかけた。
サングラス越しに低く笑っているジェネラルが憎らしいほど愛しく、 薄く開いた唇は神経が焼ききれそうなほど蠱惑的だった。
ジェネラル以外にこんな姿を見られるのも、こんな声を聞かれるのも嫌なのに、 当のジェネラルが酷く意地悪に振舞ってくる。
更にこんな状況ですら、飄々とした姿に心臓が恐怖とは違う早鐘を打つのだ。
オズワルドは惚れて惚れて惚れぬいた恋人から奪うように、自ら唇を塞いだ。
声を抑えたいがために、進んで唇を重ね、抑えていた嬌声を口腔に注ぐ。
焼けるような粘膜同士が触れ合ってオズワルドの意識も快楽に堕ちていく。
そっとジェネラルがオズワルドのサングラスに指を掛け、短い髪から引き抜くとようやく深い口付けに応じた。
合わせたジェネラルの唇がこの上なく満足そうに笑っていたのは、この際、気にしないことにする。
もう、ジェネラルさえ居ればそれで良いとすら思えて、眦から流れる涙も無視をした。
触れ合う場所から交じり合い、溶け合って、ジェネラル以外のものから現実感が殺げていった。
もう、足音すら聞こえず、五感で感じるのは愛しくも熱い完璧な恋人のみ。
オズワルドの意識が途切れる直前、甘く切なく、ジェネラルは声を喉に注ぎ込んできた。

「――…私は貴方のすべてを手に入れたいんだ、オズワルド」

その言葉を聞いて、オズワルドは力強く仕方のない尖兵を抱きしめた。
霞む視界も、飲まれる声も、オズワルドの全てを捧げ、 縋るように抱きしめた身体も、重なる心も、ジェネラルの全てを手に入れた。
そうして、心も、身体も、全てが重なりあい、記憶はそこで途切れ――――











「それで、何を書いてらっしゃるんですか?ウィンドさん」
「ぎくり」

絶対零度まで冷え切った声がウィンドの耳に滑り込み、体内から薄ら寒いものを感じた。
黒いケープを羽織った肩を震わせ、茶目っ気たっぷりに冗句めかして驚いて見せるが、 そんなことで誤魔化しきれるほど、オズワルドは易い相手ではなかった。

「こ、こんにちは、オ、オズワルドさん。こ、これは脳を活性化させるための創作活動でして……」
「……ほぅ?」

きらりとサングラスの奥の瞳が輝いて、ガサガサと原稿用紙を背中に隠すウィンドを射抜く。
血の付いた手袋はもうしまったはずなのに、オズワルドの瞳には命を刈り取るものの暗い光が宿っている。
ウィンドは眉尻をピクピクと怯えるように震わせながら、口元に添える笑みが引きつる。

「そうですか…」

穏やかな声を出しながら仕分け人はゆっくりと懐に指を差し込んで、愛用のトランプを引きずり出していく。
オズワルドから本気と書いてマジな色が見えたところで、ウィンドは観念して掌を合わせて頭を下げた。

「ごめんなさいごめんなさい! もうしないとは言い切れませんけど、反省はするつもりです!!」

金色の長い髪を揺らして頭を下げると、オズワルドは呆れたように息を吐き出しながら、 取り出しかけたトランプを再びスーツの下にしまいこみ、全く、と呟いた。
怯えるように下がった頭にこれだけ怖がらせれば良いでしょう、と内心で独りごちる。
謝罪ひとつで許すのは一重にウィンドが若い女性で、同僚だからに過ぎない。
本当はカーネフェルの真髄でも見せたいところだが、素直に謝る婦人に追い討ちを掛けるオズワルドではない。

「……大体、何を考えてらっしゃるんですか何を」
「いやぁ、最近オケ専に嵌ってまして」

言葉で諌めるも、全く悪びれない口調で言い訳されて再びオズワルドの瞳が据わる。
グン、と確かにウィンドの周りだけ気温が下がって、ひぃ、と喉の奥で悲鳴をあげた。

「―――ご理解頂けなかったようですね…?」
「ゴメンナサイ」

カチカチに固まり、冷や汗と共に告げられた謝罪に、オズワルドは今一度深い溜息を吐き出す。
最近の女性はやんちゃで困りますね。と此処には居ない当事者の口癖を口腔で嬲ったのだった。









「それは災難だったな、オズ」

しかし、彼女は相変わらずだな。と笑いながら度数の低い酒の入ったグラスを傾けるジェネラルは、 どう見ても人に降りかかった災難を労わっているようには見えなかった。
丁度、任務明けで気が浮かれているのかもしれないが、 オズワルドとしては貴方もですか、ブルータス。と毒を吐きたいところだった。
研ぎ澄まされた鋭利な毒をグッと我慢して飲み込み、尖りそうになる唇にグラスを押し当てて酒を煽る。
その姿に稚気を感じたのか、また低い笑い声が鼓膜を擽ってきた。
胡乱な視線をサングラス越しに投げかけながら、強い酒で喉を潤し、 グラスをテーブルに戻して本題とばかりにオズワルドは笑い声を遮った。

「――――時に閣下」
「なんだろうか?」

穏やかな声を紡ぐ低音に眼を細めながら、剣呑な目つきでジェネラルを見やる。
手の中のグラスがカラン、と音を立てたのを機にストレートな確認をぶつけた。

「…よもやとは思いますが、誰にも言ってませんよね?」

主語を抜いた言葉に、ジェネラルはおかしそうに小さく笑ってみせた。
その笑みを見咎めたオズワルドが不満そうに眉を寄せると、取り成すように咳払いを挟んで言葉を返した。

「貴方にそう思われているとは心外だな」
「……彼女の話が出来すぎてるからですよ」

誤魔化すような色が言葉尻に見えて、オズワルドは口元に冷たく薄い笑みを浮かべた。
不満を連ねていた面持ちは、長い年月を経て完成された微笑と摩り替わる。

「今一度問いますが、宜しいですか?」

念を押すように問われて、ジェネラルは小さく息を飲み込んだ。
問うてくるオズワルドの瞳に真剣にして明らかな色が見えたからだ。
その上、懐から取り出すトランプがキラリと光った気がして、ジェネラルの額にじわりと汗が浮いた。

「オズ、私は無実だぞ」
「無実かどうかは身体の方に聞きたいのですが」

アルカイックスマイルを浮かべて、ゆっくりと立ち上がるオズワルドの背後に黒いオーラが見える。
笑顔のまま問い詰めてくる紳士に、どこまで追求されたかは――、 あるいはどこまで弁明出来たかは――完璧なはずの尖兵のみぞ知る。












でも多分、職場で最後まではしてない。
オズさんがガチ泣きしたら、きっとカァンでお持ち帰りコース!



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