M25 ただの物置。

Chocolate



!注意

神オロチ×イグのん前提の神オロチ←オニワルド(片思い)
バレンタインデーネタ。


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オニワルドはお茶の時間に目の前に差し出された小箱に訝しげな視線を向けた後、 差し出した張本人であるオロチに視線を投げかけた。

「なんですか? これは」
「チョコレートだ」

事も無げに無機質な声が響き、オニワルドは一層首を捻って見せた。
確かに今日は乙女の聖戦、セント・バレンタインディであるが、 何故乙女でもないオロチがチョコレートを差し出すのか理解できない。
むしろ、彼は最強で可愛らしい妻と娘たちから貰う側ではないのだろうか。
疑問を隠さず、されど受け取れずにも居るとオロチはフッと唇を笑みの形に撓めた。

「知らないのか、世間では友チョコと言うのが流行っているのだぞ」
「ああ、親愛の情として贈るあれですか」

案外世俗的なことを言ってくる神様に納得したように頷くと、 オニワルドは漸く綺麗にラッピングされた小箱を受け取った。

「確か、好きだっただろう」
「……覚えていたんですか」
「友達の好きなものくらいはな」

包装紙に視線を落とせば、そこにオニワルドが贔屓にしているメーカーのロゴが踊っており、 わざわざオニワルドのために用意されたものだと言うことが見て取れた。
喜んでくれるだろう、と言う気配が伝ってきて、好物を貰った以上に胸に響いて口元が緩む。
指先で包装を綺麗に剥ぐと、艶のある黒いケースが現れる。
ケースをスライドさせて、中に納まるチョコレートを摘み、口に運んだ。
口腔で甘いチョコレートと薫り高い洋酒が交じり合って舌を喜ばせる。
これを、オロチが。と思えばオニワルドの笑みは一層深くなった。

「我は友達甲斐があるだろう」
「貴方は友達甲斐がありますね」

打ち合わせしたように声が重なって、二人で声なく笑う。
その時、オニワルドはふと気がついたように指先でチョコレートを一つ持ち上げ、 オロチの目の前に差し出した。

「とても美味しいですよ、如何ですか?」
「………ム」

意外だったのか、オロチは一瞬戸惑って見せたが、ふむ。と声を漏らしてからそっと上体を倒してきた。
今度驚くのオニワルドの方だった、まさか手ずから食べにくるとは思っておらず、 薄く唇を開いていくオロチの口元から視線が逸らせなくなった。
僅かに瞳を伏せ気味にチョコレートをパク、と浚うと、ひょいと身体を正して、むぐむぐと暫し味わってから嚥下した。
一瞬、呆けていたオニワルドはハッと我を取り戻し、何気ない振りをして深呼吸をする。

「確かに甘いな」

落ち着かない鼓動を隠すように、オニワルドは足を組み替えながら、 本当に、胃もたれしそうな程ですよ。と口腔で聞こえぬように呟く。
ほんのりとオニワルドの耳裏が染まっていることに、気付くものは誰も居なかった。

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