嵐の夜に
!注意
ゲニ&グス小ネタ。
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飛沫は窓を強く打ち、強風は窓枠をガタガタと揺らしている。
大地は絶え間なく降り注ぐ雨にぐっしょりと濡れ、窓から見える木々は撓っている。
黒々とした空を見れば、今夜一晩こんな天気が続くのだろう。
甲高く鳴く風の音が鼓膜を震わせて身体の奥まで響いてくる。
「――…気になりますか?」
「何のことです?」
先ほどから外を気にして、時折窓へ視線を投げかけるゲーニッツへグスタフは疑問の声を掛けた。
ゲーニッツとグスタフが属する一族は地球意思を頂点として、自然摂理に深い関係を持つ。
大地を疲弊させる愚かしい人類は本能的に嫌悪感を抱くし、
風や炎といった元始的なものや、衝動や獰猛さと言った直接的なものは理由もなく好ましく感じた。
特にゲーニッツのようなオロチに近い存在として生きているとその傾向は一層顕著になり、
こんな、嵐の夜は気が落ち着かないらしい。
何をしたい、と言うわけでもないのだろうが、先ほどから珍しくそわそわとしている。
しかし、当のゲーニッツは何故か、その衝動を隠し、無理やり意識をグスタフに戻して素知らぬ振りをする。
「いえ、随分と風が高く鳴いていたので、祭祀様も同調されていたのかと」
「……だと言うなら、なんだと言うのです」
「湯をご用意してお待ちしております」
完璧な返答を返す忠実なる部下に小さく眉を跳ね上げさせて息を吐く。
グスタフは何を間違えただろうか、と僅かに表情を曇らせ、祭祀様。と今一度呼びかけた。
「行きませんよ。この暴風雨の中、耐性も無いくせに傘を差して付いてこようとする部下がいますからね」
その言葉に違和感を覚えたが、疑問を持つより早く「今日は早めに休みます」と告げたので、
グスタフは条件反射のように短く御意を示して、深く頭を垂れた。
それがゲーニッツなりの気遣いであり、同行を拒否しないことが許しなのだと気付いて、
羞恥心と歓喜に頭を抱えて悶絶するのは、翌日の話。