Red it be
!注意
カリスマヨハン→涙目ヨハン小話。
別人格、別肉体ですがアウトーな方はカカッっとブラウザバック。
地の文でカリスマヨハンはカリスマ表記です。
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カリスマは紅玉を殊更好んでいる。
血のように深く、濃い色をしているくせにまるで水のように透き通っては光を反射させる。
その相反する様が、堪らなく心を擽るのだ。
しかし、カリスマは戯れに紅玉を集めては、すぐに飽きて躊躇いなく手放した。
それが出来るだけの財力も伝手も、カリスマには腐るほどあった。
集めては飽きて、また暫くすると堪えきれないほど欲しくなり、金に物を言わせてかき集める。
そんな周期を繰り返し、その不毛さも理解していながら、カリスマはそのサイクルから抜け出すことが出来なかった。
抜け出せない周期の中でも何か特別な石を一粒でも見つけられたら、
この不毛なサイクルから抜け出せるだろう、と、カリスマは漠然と考えていた。
そして、その考えを肯定するように、ありとあらゆる紅玉を探し、その手に集めた。
けれど、どんなに美しく、類を見ないほど素晴らしい紅玉でも、
手に取り、光を翳して見てしまうとカリスマ自身でも驚くほど簡単に興味が失せてしまう。
手に入れてない時は至宝にすら思えた紅玉すら、手に入れてしまえば石ころに等しかった。
数多の紅玉を探し、手に入れるも、それはどれ一つとしてカリスマを満足させなかった。
カリスマ自身にすら、どんな紅玉なら満足出来るのか解らなかったのだから、当たり前と言えば当たり前の事だった。
「…違うな…」
カリスマは手に持った紅玉をテーブルへと落とした。
テーブルには幾つもの紅玉が並べられ、その下には石の保護の為に赤い天鵞絨が広げられている。
しかし、幾ら保護用の布が広げられているとは言え、
高価で稀少な宝石を粗雑に扱っていい理由にはならないが、カリスマにとってはどうでも良い事だった。
どれだけ高価で稀少であろうと、この紅玉はカリスマの望むものではないのだから。
カリスマは飽きたようにソファに寝そべった。
長い時間、紅玉を吟味していたから目が疲れたというのもあるが、
どれだけ探しても見つからない探し物に苛立ったという理由の方が強い。
ソファに背を預けたまま瞼を下ろし、深く息を吐く。
探しても探しても、たった一粒が見つからない。
たった一粒で良い、と、珍しくも殊勝なことを考えているのだから、
そろそろ見つかっても良い頃だろう。と、誰にともなく心中で呟いた。
「おい、私。そんな所で寝てると風邪を引くぞ?」
からかうような声音にカリスマは緩く目を上けた。
視界の中で、全く同じ顔、同じ声、同じ姿の男が穏やかに笑んでいる。
カリスマは鼻で笑った後に、口を開いた。
「地味なお前と一緒にするな」
「じ、地味じゃない!!心配してやったのにコレだよ!!」
カリスマの言葉に、瞬く間に双紅が潤んだ。涙を零すまいと、長い睫がふるふると震えている。
カリスマは透明感のある瞳を眺めながら、小さく呼気を吐いた。
早く至宝の一粒を見つけなければ間に合わない。
早く、あの涙に潤む瞳よりも美しく、心惹かれる宝石を手に入れなければ、心を全て奪われてしまう。
あちらの心を全て奪う前に、こちらの心を全て奪われるなど沽券に関わる。
「地味と言われたくらいで泣くな。お前は私だろう」
「うっうっ…な、泣いてない…!」
テーブルに未だ広がったままの紅玉は、頬を伝うあの涙以上に煌めいただろうか。
そう悩んでしまった時点で答えは出ているようなものだが、
カリスマは矜持を振り絞って気付かないフリをした。