M25 ただの物置。

小休憩



!注意


グスタフが主人公で社長なストーリー動画設定。
ですが、動画とは一切関係ないただの捏造話。キス描写有り。
キャラ崩壊、嘘設定などを受け付けない方は要回避。


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「――…ふぅ、」
「休憩するか?」

暫くデスクに向かっていたグスタフが漏らした吐息を耳で拾い、 サイキカルは労うように問いかけながら、視線をグスタフに向けた。
カンパニーの会長と言う椅子に腰掛けるグスタフの日常は忙しい。
会社運営も手広くやっている上、最近では得体の知れない連中に、 熱烈なラブコールを受けていて疲労も倍率ドンである。
幾らタフな男とは言え、流石のグスタフも溜息の一つ出てしまうらしい。

因みにグスタフの身辺警護を受け持つサイキカルは、 グスタフの傍に居ることが最大の仕事であるため、 応接セットのソファに腰掛けて、本を開いているのが常だった。
火種の多いグスタフといえど、四六時中渦中に居るわけでもなく、 当然、サイキカルの仕事も退屈なものになってくる。
それでもグスタフの仕事を邪魔するつもりはなく、 ソファに懐いて大人しくしていたところだったため、聞こえてきた溜息に即座に反応を示した。

「いや、もう少しでキリがつく」

しかし、あっさりと否定の声を返されて、サイキカルはソファに身を沈めなおした。
グスタフはその暇を持て余している背中を視界に入れて、ふ、と吐息のみで笑いを漏らす。
その笑い声が耳に届いたサイキカルは視線を持ち上げなおし、 言葉を選ぶような間を置いてから、再び唇を開いた。

「――…しかし、働き詰めでは倒れるぞ」

基本的には護衛だけがサイキカルに与えられた任務だったが、 だからと言って、目に見えて無理をするグスタフを放っておく気にはなれなかった。
サイキカルは膝で開いていた本を閉じると、ソファに捨て、上体を捻りグスタフへと座ったまま向き直る。
その気配を感じ取ったのか、グスタフも手元の書類から顔を起こすとサイキカルと視線を合わせた。

「確かに、そんな失態を見せてはお前の立つ瀬がないな」

先ほどよりもあからさまな苦笑を見せて、 グスタフは手に持っていた書類を、執務机の上にバサバサと音を立てて落とした。
乱雑に扱われた書類は机の上に散らばり、ひと時の休息を受け入れたことを示す。
動きに合わせるようにサイキカルは音もなくソファの背に手を掛けて、腰を持ち上げた。

「ヴァネッサに茶でも頼んでこようか?」

隣の部屋で自身の仕事をこなしている女性の名を挙げて、声を掛けるも、 グスタフは片手を持ち上げたのみで、サイキカルの言葉と動作を制した。

「いや、良い」

「………」

常ならば、そうだな。の一言で受け入れるグスタフらしかぬ言葉だった。
ゆっくりと椅子から立ち上がり、軽く背筋を伸ばして、 ソファへ歩み寄るグスタフに片眉を揺らしてサイキカルもソファに腰を下ろしなおす。
緩慢な歩みでソファまでやってきたグスタフは、珍しくサイキカルの隣へと腰を掛けた。
ソファが僅かに沈み、グスタフの長い黒髪が波を打つ。
グスタフは身を沈め、後頭部をソファに預けて、咽喉をそらして力を抜く。
天井を見上げる瞳が細い。

「やはり、相当疲れてるのではないか?」

横顔に視線を注いでいたサイキカルは伺うように常の調子を崩さず問いかけた。
マイペースながら、心を配る気配を読み取ったのか、 グスタフは短く「ん」と声を出して視線のみをサイキカルに向ける。

「余計な心配をかけることもあるまい」
「心配くらいさせてやれば良いだろう、偶にはベッド以外でも甘えてやったらどうだ?」

事も無げにさらりと指摘すると、瞬間的にグスタフの顔が歪んだ。
眉間に皺を刻み、苦虫を噛み潰したような表情の中に驚きがある。
珍しく複雑な表情を見せるグスタフに変化の少ない顔を傾けて見せた。

「お前がそういう冗談を言うとは思わなかったな…」

首を傾斜させ、黒髪を敷いたソファの背に頬を預けながら、サイキカルの視線を絡め取る。
まるでソファに凭れるような姿にサイキカルは唇の形を僅かに撓めて笑う。

「冗談にしてるのはお前だろう」

茶化すように言葉を返すと、グスタフは首を左右に振って長い髪を揺らめかせた。
そのまま、重力に身を任せ、サイキカルの方へ重心を傾ける。
長躯は自然と倒れ、サイキカルの膝の上に乗っていた本を無造作に床へ落とし、 その場所へ何の断りもなく頭を乗せ、深い息を吐き出した。

「良いから、休ませてくれ」
「――-…ここでか」

膝の上に乗る頭を見下ろしながら、柄にもなく甘えてくるグスタフに突っ込みを入れる。
「硬いな…」と身勝手なことを呟きながらも、頭の位置を調節しているところを見ると、 如何やら本当に人の膝の上で休憩を取るつもりらしい。
完全にイニシアチブをグスタフに取られて抵抗する気も起きないが、 休憩を終えている頃には痺れを訴えるだろう両足を、まるで他人事のように按じる。

「偶には甘えるのも良いのだろう?」

吐息に笑気を絡ませながら、言葉でからかってくるグスタフにサイキカルも身体から力を抜いた。
片手を持ち上げ、指先をグスタフのこめかみに翳すと、頬に掛かる黒髪を耳に掛けてやる。
微かに肩を揺らし、笑いを堪えるようなグスタフの所作に瞳を細めて頬を掌で包む。

「――…ヴァネッサも苦労するわけだ」
「フッ、お前ほどじゃないさ」

グスタフは人の悪い笑みを口元に浮かべた。
呆れ顔のサイキカルの首に腕を掛け、上体を僅かに持ち上げて、 半ば強引に顔を引き寄せ、戯れるように今にも溜息を吐き出しそうな唇を塞いだ。

触れた唇は鋭利なほど乾いていたが、せめて一時の気まぐれに浸るように、 サイキカルも瞳を伏せて、グスタフを両腕で抱きながら身体を傾けた。







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